November 29, 2018 Vol. 379 No. 22
未診断疾患を有する患者に遺伝子診断が及ぼす影響
Effect of Genetic Diagnosis on Patients with Previously Undiagnosed Disease
K. Splinter and Others
多くの患者は広範な医学的評価を受けても診断がつかずにいる.未診断疾患ネットワーク(UDN)は,もっとも難解な症例の評価に集学的モデルを応用し,新たに発見された疾患の生物学的特性を同定する目的で設立された.UDN は,米国国立衛生研究所の助成を受け,7 ヵ所の臨床施設,2 ヵ所のシーケンシング中核施設,1 ヵ所の調整センターから成るネットワークとして 2014 年に組織された.その後,中央バイオレポジトリ,メタボロミクス中核施設,モデル生物スクリーニングセンターが追加された.
20 ヵ月の期間に UDN に紹介された患者を評価した.患者は,医療提供者から徹底的な評価を受けたにもかかわらず,未診断の病態を有することを要件とした.その後完全な評価を受けた患者における診断割合を明らかにし,診断が診療に及ぼす影響を観察した.
1,519 例(53%は女性)が UDN に紹介され,うち 601 例(40%)が受け入れられた.受け入れられた患者のうち,192 例(32%)は以前にエクソーム解析を受けていた.初発症状は志願者の 40%が神経症状,10%が筋骨格症状,7%が免疫症状,7%が消化管症状,6%がリウマチ症状であった.完全な評価を受けた 382 例のうち,132 例が診断を受け,診断割合は 35%であった.15 例(11%)は臨床的再検討のみ,98 例(74%)はエクソーム解析またはゲノム解析によって診断がなされた.診断がなされた患者のうち,21%で治療の変更が推奨され,37%で診断検査が変更され,36%で変異特異的遺伝カウンセリングが行われた.31 の新規症候群を同定した.
UDN で完全な評価を受けた 382 例のうち 132 例で診断が確定し,診断割合は 35%であった.(米国国立衛生研究所共通資金から研究助成を受けた.)