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December 27, 2018 Vol. 379 No. 26

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重症疾患におけるせん妄の治療のためのハロペリドールとジプラシドン
Haloperidol and Ziprasidone for Treatment of Delirium in Critical Illness

T.D. Girard and Others

背景

集中治療室(ICU)患者のせん妄に対する抗精神病薬の効果に関するデータは一貫していない.

方 法

無作為化二重盲検プラセボ対照試験で,急性呼吸不全またはショックを呈し,低活動型または過活動型せん妄を認める患者を,ハロペリドール(最大用量 20 mg/日)群,ジプラシドン(ziprasidone)(最大用量 40 mg/日)群,プラセボ群に割り付け,静脈内ボーラス投与を行った.試験薬またはプラセボの投与量(体積と用量)は,ICU におけるせん妄評価法(CAM-ICU)を用いて検出したせん妄の有無,および介入による副作用の有無に基づき,12 時間ごとに半量または倍量にした.主要評価項目は,14 日間の介入期間中のせん妄または昏睡を伴わない生存日数とした.副次的評価項目は,30 日生存,90 日生存,人工呼吸器離脱までの期間,ICU 退室までの期間,退院までの期間などとした.安全性評価項目は,錐体外路症状,過鎮静などとした.

結 果

1,183 例の患者またはその法定代理人から書面によるインフォームドコンセントを取得した.566 例(48%)がせん妄を発症し,内訳は低活動型せん妄が 89%,過活動型せん妄が 11%であった.566 例のうち 184 例がプラセボ群,192 例がハロペリドール群,190 例がジプラシドン群に無作為に割り付けられた.試験薬またはプラセボへの曝露期間の中央値は 4 日(四分位範囲 3~7)であった.せん妄または昏睡を伴わない生存日数の中央値は,プラセボ群 8.5 日(95%信頼区間 [CI] 5.6~9.9),ハロペリドール群 7.9 日(95% CI 4.4~9.6),ジプラシドン群 8.7 日(95% CI 5.9~10.0)であった(試験群間の全体的な効果の P=0.26).ハロペリドールの使用とジプラシドンの使用に,プラセボと比較して主要評価項目に対する有意な効果は認められなかった(オッズ比はそれぞれ 0.88 [95% CI 0.64~1.21] と 1.04 [95% CI 0.73~1.48]).副次的評価項目,および錐体外路症状の発生頻度に関して,群間で有意差は認められなかった.

結 論

ICU で急性呼吸不全またはショックを呈し,低活動型または過活動型せん妄を認める患者にハロペリドールまたはジプラシドンを用いても,せん妄の持続期間はプラセボと比較して有意に変化しなかった.(米国国立衛生研究所,米国退役軍人省老年研究教育臨床センターから研究助成を受けた.MIND-USA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01211522)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 2506 - 16. )