The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 27, 2018 Vol. 379 No. 26

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

未治療慢性リンパ性白血病の高齢患者におけるイブルチニブレジメンと免疫化学療法との比較
Ibrutinib Regimens versus Chemoimmunotherapy in Older Patients with Untreated CLL

J.A. Woyach and Others

背景

イブルチニブは,未治療慢性リンパ性白血病(CLL)の患者の治療薬として 2016 年に米国食品医薬品局に承認され現在にいたるが,免疫化学療法との比較は行われていない.イブルチニブの単独またはリツキシマブとの併用の有効性を,免疫化学療法と比較評価する第 3 相試験を行った.

方 法

未治療 CLL の 65 歳以上の患者を,ベンダムスチン+リツキシマブを投与する群,イブルチニブを投与する群,イブルチニブ+リツキシマブを投与する群に無作為に割り付けた.主要評価項目は無増悪生存期間とした.連携データ安全性モニタリング委員会は,プロトコールで規定した有効性の閾値を満たしたあと,データを公開することを決定した.

結 果

183 例がベンダムスチン+リツキシマブ群,182 例がイブルチニブ群,182 例がイブルチニブ+リツキシマブ群に割り付けられた.ベンダムスチン+リツキシマブ群のみが無増悪生存期間中央値に達した.2 年の時点での推定無増悪生存率は,ベンダムスチン+リツキシマブ群で 74%であり,イブルチニブ単独群(87%,病勢進行または死亡のハザード比 0.39,95%信頼区間 [CI] 0.26~0.58,P<0.001)とイブルチニブ+リツキシマブ群(88%,ハザード比 0.38,95% CI 0.25~0.59,P<0.001)のほうが高かった.イブルチニブ+リツキシマブ群とイブルチニブ群とのあいだで,無増悪生存期間に関して有意差は認められなかった(ハザード比 1.00,95% CI 0.62~1.62,P=0.49).追跡期間中央値 38 ヵ月の時点で,3 群間で全生存期間に有意差は認められなかった.グレード 3~5 の血液学的有害事象の発現率は,ベンダムスチン+リツキシマブ(61%)がイブルチニブとイブルチニブ+リツキシマブ(それぞれ 41%と 39%)よりも高かったが,グレード 3~5 の非血液学的有害事象の発現率は,ベンダムスチン+リツキシマブ(63%)がイブルチニブを含む両レジメン(各 74%)よりも低かった.

結 論

未治療 CLL の高齢患者では,イブルチニブによる治療は,無増悪生存期間に関してベンダムスチン+リツキシマブによる治療よりも優れていた.イブルチニブとイブルチニブ+リツキシマブとのあいだで,無増悪生存期間に有意差は認められなかった(米国国立がん研究所,Pharmacyclics 社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01886872)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 2517 - 28. )