妊娠中の血小板数
Platelet Counts during Pregnancy
J.A. Reese and Others
合併症を有しない妊娠中の女性の血小板数が 150,000/mm3 未満で,ほかに原因が特定されなければ,妊娠性血小板減少症とされる.妊娠に関連する合併症を有する女性では,血小板数がさらに少ない可能性がある.しかし,妊娠中の血小板減少症の発症と重症度は明確にされていない.
2011~14 年にオクラホマ大学医療センターで出産した女性の妊娠中の血小板数を評価した.妊娠女性の血小板数を,1999~2012 年に全米健康栄養調査(NHANES)に参加した非妊娠女性の
血小板数と比較した.
調査期間中に発生した出産 15,723 件のうち,7,351 例の女性が解析に十分なデータを有していた.このうち 4,568 例が合併症を有さず,2,586 例が妊娠に関連する合併症を有し,197 例が血小板減少症に関連する既存疾患を有していた.合併症を有しない妊娠女性において,妊娠第 1 三半期(平均妊娠週数 8.7 週)の平均血小板数は 251,000/mm3 であり,非妊娠女性 8,885 例の平均血小板数(273,000/mm3)よりも少なかった(P<0.001).出産時には,合併症を有しない妊娠女性の 9.9%で血小板数が 150,000/mm3 を下回った.合併症を有しない妊娠・出産の期間中に,血小板数が 100,000/mm3 を下回ったのは 45 例(1.0%)のみであった.血小板数が 80,000/mm3
を下回った合併症を有しない妊娠女性 12 例のうち,診療録の再評価によりほかに血小板減少症の原因がないと確認されたのはわずか 5 例(0.1%, 血小板数範囲 62,000~78,000/mm3, 中央値 65,000/mm3)であった.出産時に血小板数が 150,000/mm3 未満であった割合は,妊娠に関連する合併症を有する女性のほうが,合併症を有しない妊娠女性よりも高かった(11.9% 対 9.9%,P=0.01).妊娠に関連する合併症を有する女性のうち,59 例(2.3%)が妊娠・出産の期間中に血小板数が 100,000/mm3 を下回り,31 例(1.2%)は 80,000/mm3 を下回った.
調査した女性全体において,平均血小板数は妊娠中に減少し,減少は妊娠第 1 三半期に始まった.血小板数が 100,000/mm3 未満の女性では,妊娠またはその合併症以外の原因を検討すべきである.(米国国立心臓・肺・血液研究所から研究助成を受けた.)