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August 23, 2018 Vol. 379 No. 8

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生殖細胞系列 BRCA 変異陽性の進行乳癌患者におけるタラゾパリブ
Talazoparib in Patients with Advanced Breast Cancer and a Germline BRCA Mutation

J.K. Litton and Others

背景

ポリ(アデノシン二リン酸リボース)阻害薬タラゾパリブ(talazoparib)は,BRCA1BRCA2BRCA1/2)に生殖細胞系列変異を有する進行乳癌患者において,抗腫瘍活性が示されている.

方 法

無作為化非盲検第 3 相試験を行い,生殖細胞系列 BRCA1/2 変異陽性の進行乳癌患者を,タラゾパリブ(1 mg を 1 日 1 回)を投与する群と,医師が選択した標準単剤療法(カペシタビン,エリブリン,ゲムシタビン,ビノレルビンのいずれかを,連続する 21 日サイクルで投与)を行う群に 2:1 の割合で割り付けた.主要評価項目は無増悪生存期間とし,盲検下での独立した中央判定により評価した.

結 果

無作為化した 431 例のうち,287 例をタラゾパリブ群に,144 例を標準療法群に割り付けた.無増悪生存期間の中央値は,タラゾパリブ群のほうが標準療法群よりも有意に長かった(8.6 ヵ月 対 5.6 ヵ月,病勢進行または死亡のハザード比 0.54,95%信頼区間 [CI] 0.41~0.71,P<0.001).中間解析における全生存期間の中央値に基づく死亡のハザード比は 0.76(95% CI 0.55~1.06)であった(P=0.11 [予測されたイベントの 57%]).客観的奏効率は,タラゾパリブ群のほうが標準療法群よりも高かった(62.6% 対 27.2%,オッズ比 5.0,95% CI 2.9~8.8,P<0.001).グレード 3 または 4 の血液学的有害事象(主に貧血)は,タラゾパリブ群の 55%と標準療法群の 38%に発現し,グレード 3 の非血液学的有害事象はそれぞれ 32%と 38%に発現した.患者報告アウトカムはタラゾパリブ群のほうが良好であり,全般的健康状態–QOL スケールと乳房症状スケールの両方において,有意な全体的改善と,臨床的に意味のある増悪までの期間の有意な延長が認められた.

結 論

生殖細胞系列 BRCA1/2 変異陽性の進行乳癌患者において,タラゾパリブ単剤療法により,無増悪生存期間に標準化学療法を上回る有意な利益が得られた.患者報告アウトカムは,タラゾパリブのほうが良好であった.(Medivation 社 [Pfizer 社] から研究助成を受けた.EMBRACA 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01945775)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 753 - 63. )