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August 23, 2018 Vol. 379 No. 8

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経腟分娩後の出血を予防するための熱安定性カルベトシンとオキシトシンとの比較
Heat-Stable Carbetocin versus Oxytocin to Prevent Hemorrhage after Vaginal Birth

M. Widmer and Others

背景

分娩後出血は母体死亡の原因としてもっとも多い.オキシトシンは分娩後出血の予防の標準療法であるが,冷蔵保管する必要があり,多くの国で利用できない.大規模試験で,新規製剤である熱安定性のカルベトシン(carbetocin)をオキシトシンと比較した.

方 法

無作為化二重盲検非劣性試験において,10 ヵ国 23 施設で女性を登録し,経腟分娩直後の熱安定性カルベトシン(100 μg)の筋肉内注射とオキシトシン(10 IU)の筋肉内注射とを比較した.二重盲検を維持するため,いずれの薬剤も冷蔵(2~8℃)した.主要評価項目は,500 mL 以上出血したか子宮収縮薬を追加使用した女性の割合と,1,000 mL 以上出血した女性の割合の 2 項目とした.これらの評価項目の相対リスクの非劣性マージンはそれぞれ 1.16,1.23 とした.

結 果

29,645 例を無作為化した.500 mL 以上の出血または子宮収縮薬の追加使用の頻度は,カルベトシン群 14.5%,オキシトシン群 14.4%であり(相対リスク 1.01,95%信頼区間 [CI] 0.95~1.06),非劣性に一致する結果であった.1,000 mL 以上の出血の頻度は,カルベトシン群 1.51%,オキシトシン群 1.45%であり(相対リスク 1.04,95% CI 0.87~1.25),信頼区間は非劣性マージンを超えた.子宮収縮薬の追加使用,止血のための介入,有害作用に,群間で有意差は認められなかった.

結 論

熱安定性カルベトシンは,500 mL 以上の出血または子宮収縮薬の追加使用の予防に関して,オキシトシンに対し非劣性であった.1,000 mL 以上の出血に関しては非劣性は示されなかったが,この評価項目のイベント発生率の低さが試験の検出力を低下させた.(Merck Sharpe & Dohme 社から研究助成を受けた.CHAMPION 試験:Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12614000870651,EudraCT 番号 2014-004445-26,Clinical Trials Registry–India 番号 CTRI/2016/05/006969)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 743 - 52. )