The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

August 30, 2018 Vol. 379 No. 9

進行型多発性硬化症に対するイブジラストの第 2 相試験
Phase 2 Trial of Ibudilast in Progressive Multiple Sclerosis

R.J. Fox and Others

背景

進行型多発性硬化症の治療法は限られている.イブジラストは,いくつかの環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ,マクロファージ遊走阻止因子,Toll 様受容体 4 を阻害し,血液脳関門を通過することができ,進行型多発性硬化症に対して有益な効果をもつ可能性がある.

方 法

一次または二次進行型多発性硬化症の患者を,経口イブジラスト(≦100 mg/日)またはプラセボを 96 週間投与する第 2 相無作為化試験に登録した.主要有効性評価項目は脳の萎縮率で,脳実質比率(脳の外面の輪郭に基づく体積に対する脳の大きさ)によって測定した.主な副次的評価項目は,拡散テンソル画像上の錐体路の変化,正常に見える脳組織の磁化移動率,網膜神経線維層厚,皮質の萎縮などで,すべて多発性硬化症の組織障害の指標であった.

結 果

無作為化された 255 例のうち,129 例がイブジラスト群に,126 例がプラセボ群に割り付けられた.イブジラスト群の 53%とプラセボ群の 52%が一次進行型であり,残りは二次進行型であった.脳実質比率の変化率は,イブジラスト群で -0.0010/年,プラセボ群で -0.0019/年であり( 差 0.0009,95%信頼区間 0.00004~0.0017,P=0.04),イブジラスト群では脳組織の減少が 96 週間で約 2.5 mL 少なかったことを表している.イブジラストによる有害事象は消化器症状,頭痛,抑うつなどであった.

結 論

進行型多発性硬化症の患者を対象とした第 2 相試験で,イブジラストは,プラセボと比較して脳萎縮の進行が遅いことに関連していたが,消化器系の副作用,頭痛,抑うつの発現率が高いことにも関連していた.(米国国立神経疾患・脳卒中研究所ほかから研究助成を受けた.NN102/SPRINT-MS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01982942)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2018; 379 : 846 - 55. )