慢性リンパ性白血病の一次治療としてのイブルチニブとベネトクラクスの併用
Ibrutinib and Venetoclax for First-Line Treatment of CLL
N. Jain and Others
ブルトン型チロシンキナーゼ阻害薬であるイブルチニブと,B 細胞リンパ腫 2 蛋白阻害薬であるベネトクラクス(venetoclax)は,慢性リンパ性白血病(CLL)患者への使用が承認されている.前臨床研究ではこれらの併用による相乗的な相互作用の可能性が示されている.
未治療 CLL を有する高リスク患者と比較的高齢の患者におけるイブルチニブとベネトクラクスの併用に関する研究者主導の第 2 相試験を行った.全例が,染色体 17p 欠失,TP53 変異陽性,染色体 11q 欠失,IGHV 変異陰性,65 歳以上の特性のうち,少なくとも 1 つを有していた.患者にイブルチニブ単剤療法(1 日 1 回 420 mg)を 3 サイクル行ったあと,ベネトクラクス(1 日 1 回 400 mg まで毎週漸増)を追加した.併用療法は 24 サイクル行った.奏効の評価は,慢性リンパ性白血病国際ワークショップ(IWCLL)2008 の基準に従って行った.微小残存病変(MRD)は,骨髄のマルチカラーフローサイトメトリー(感度 10-4)を用いて評価した.
80 例に治療を行った.年齢の中央値は 65 歳(範囲 26~83 歳)であった.患者の 30%が 70 歳以上であった.全体で,患者の 92%が IGHV 変異陰性,TP53 異常,染色体 11q 欠失のいずれかを有していた.併用療法により,完全寛解(正常な血球数への回復の有無は問わず)を得た患者と,MRD 陰性の寛解を得た患者の割合は経時的に増加した.併用療法を 12 サイクル行ったあと,患者の 88%で完全寛解または血球数の回復が不完全な完全寛解が得られ,61%で MRD 陰性の寛解が得られた.奏効は比較的高齢の患者,およびすべての高リスク患者サブグループで認められた.3 例に腫瘍崩壊症候群の臨床検査所見が認められた.有害事象のプロファイルは,イブルチニブ,ベネトクラクスのそれぞれで報告されているものと類似していた.
この試験において,ベネトクラクスとイブルチニブの併用は,CLL を有する高リスク患者および比較的高齢の患者に有効な経口レジメンであった.(アッヴィ社ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02756897)