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January 31, 2019 Vol. 380 No. 5

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骨・関節感染症に対する抗菌薬の経口投与と静脈内投与との比較
Oral versus Intravenous Antibiotics for Bone and Joint Infection

H.-K. Li and Others

背景

複雑な整形外科領域感染症の管理には通常,抗菌薬の長期静脈内投与が含まれる.われわれはこの適応において,抗菌薬の経口療法が静脈内療法に対して非劣性を示すかどうかを検討した.

方 法

英国の 26 施設で,骨感染症または関節感染症の治療を受けている成人患者を登録した.術後 7 日以内(手術せずに管理されている場合は抗菌薬投与開始後 7 日以内)に参加者を,最初の 6 週間の治療として抗菌薬を静脈内投与する群と経口投与する群に無作為に割り付けた.両群とも,その後の経口抗菌薬の継続を可能とした.主要評価項目は,無作為化後 1 年以内の明らかな治療失敗とした.主要評価項目のリスク解析における非劣性マージンは 7.5 パーセントポイントとした.

結 果

1,054 例(各群 527 例)のうち,評価項目のデータを入手しえたのは 1,015 例(96.3%)であった.治療失敗は,静脈内投与群 506 例中 74 例(14.6%),経口投与群 509 例中 67 例(13.2%)で発生した.評価項目の欠測データ(39 例,3.7%)は補完した.intention-to-treat 解析では,明らかな治療失敗のリスクの差(経口投与群 対 静脈内投与群)は -1.4 パーセントポイント(90%信頼区間 [CI] -4.9~2.2,95% CI -5.6~2.9)であり,非劣性が示された.この結果は,すべての評価項目のデータを入手しえた症例の解析,per-protocol 解析,感度分析でも支持された.重篤な有害事象の発現率に,群間で有意差は認められなかった(静脈内投与群 527 例中 146 例 [27.7%],経口投与群 527 例中 138 例 [26.2%],P=0.58).副次的評価項目として解析したカテーテル合併症は,静脈内投与群のほうが頻度が高かった(9.3% 対 1.0%).

結 論

複雑な整形外科領域感染症に対して抗菌薬の経口療法を最初の 6 週間用いた場合,1 年の時点での治療失敗に関する評価では,静脈内療法に対して非劣性を示した.(英国国立健康研究所から研究助成を受けた.OVIVA 試験:Current Controlled Trials 登録番号 ISRCTN91566927)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 425 - 36. )