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February 28, 2019 Vol. 380 No. 9

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進行卵巣腫瘍患者におけるリンパ節郭清の無作為化試験
A Randomized Trial of Lymphadenectomy in Patients with Advanced Ovarian Neoplasms

P. Harter and Others

背景

進行卵巣癌患者の外科治療では,骨盤・傍大動脈リンパ節の系統的郭清が広く行われているが,それを支持する無作為化臨床試験のエビデンスは限られている.

方 法

新たに進行卵巣癌(国際産婦人科連合 [FIGO] 分類 IIB~IV 期)と診断され,肉眼的完全切除を受け,術前・術中ともにリンパ節が正常であった患者を,手術中に,リンパ節郭清を受ける群と受けない群に無作為に割り付けた.全施設に,試験に参加する前に手術技術に関して基準を満たす義務が課せられた.主要評価項目は全生存期間とした.

結 果

2008 年 12 月~2012 年 1 月に 647 例が無作為化され,リンパ節郭清を受ける群(323 例)と受けない群(324 例)に割り付けられ,解析対象となった.リンパ節郭清を受けた患者において,切除されたリンパ節の数の中央値は 57 個(骨盤リンパ節 35 個,傍大動脈リンパ節 22 個)であった.全生存期間の中央値はリンパ節郭清非施行群 69.2 ヵ月,リンパ節郭清施行群 65.5 ヵ月であり(リンパ節郭清施行群の死亡のハザード比 1.06,95%信頼区間 [CI] 0.83~1.34,P=0.65),無増悪生存期間の中央値は両群とも 25.5 ヵ月であった(リンパ節郭清施行群の増悪または死亡のハザード比 1.11,95% CI 0.92~1.34,P=0.29).重篤な術後合併症の発生頻度はリンパ節郭清施行群のほうが高かった(例:再開腹率 12.4% 対 6.5% [P=0.01],術後 60 日以内の死亡率 3.1% 対 0.9% [P=0.049]).

結 論

腹腔内腫瘍が肉眼的に完全切除され,術前・術中ともにリンパ節が正常であった進行卵巣癌患者における骨盤・傍大動脈リンパ節の系統的郭清は,それを受けなかった場合と比較して全生存期間も無増悪生存期間も延長せず,術後合併症の高い発生率を伴った.(ドイツ研究振興協会,オーストリア科学財団から研究助成を受けた.LION 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT00712218)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 380 : 822 - 32. )