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July 11, 2019 Vol. 381 No. 2

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転移性前立腺癌における標準的な一次治療とエンザルタミドの併用
Enzalutamide with Standard First-Line Therapy in Metastatic Prostate Cancer

I.D. Davis and Others

背景

アンドロゲン受容体阻害薬エンザルタミドは,去勢抵抗性前立腺癌の男性の全生存期間の延長と関連することが示されている.転移性ホルモン感受性前立腺癌の男性において,テストステロン抑制にエンザルタミドを追加することで,早期のドセタキセル投与の併用を問わず,生存期間が延長するかどうかは明らかにされていない.

方 法

非盲検無作為化第 3 相試験で,患者を,テストステロン抑制に,非盲検下でのエンザルタミドを併用する群と,標準治療の非ステロイド性抗アンドロゲン薬を併用する群(標準治療群)に割り付けた.主要評価項目は全生存期間とした.副次的評価項目は,前立腺特異抗原(PSA)値に基づく無増悪生存期間,臨床的無増悪生存期間,有害事象などとした.

結 果

1,125 例が無作為化され,追跡期間中央値は 34 ヵ月であった.エンザルタミド群の 102 例と標準治療群の 143 例が死亡した(ハザード比 0.67,95%信頼区間 [CI] 0.52~0.86,P=0.002).3 年全生存率の Kaplan–Meier 推定値は,エンザルタミド群 80%(94 件に基づく),標準治療群 72%(130 件に基づく)であった.エンザルタミド群のほうが,PSA に基づく無増悪生存(それぞれ 174 件と 333 件,ハザード比 0.39,P<0.001)と臨床的無増悪生存(それぞれ 167 件と 320 件,ハザード比 0.40,P<0.001)についても良好な結果が認められた.有害事象による投与中止の頻度は,エンザルタミド群のほうが標準治療群よりも高かった(それぞれ 33 件と 14 件).疲労はエンザルタミド群のほうが多く,痙攣発作はエンザルタミド群では 7 例(1%)に発現し,標準治療群では発現しなかった.

結 論

テストステロン抑制を受けている転移性ホルモン感受性前立腺癌の男性において,エンザルタミドは,標準治療と比較して無増悪生存期間と全生存期間が有意に長いことに関連した.エンザルタミド群は,早期にドセタキセル投与を受けた患者ではとくに,痙攣発作とその他の毒性の発現率がより高かった.(アステラス サイエンティフィック メディカル アフェアーズ社ほかから研究助成を受けた.ENZAMET [ANZUP 1304] 試験:ANZCTR 登録番号 ACTRN12614000110684,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02446405,EU Clinical Trials Register 番号 2014-003190-42)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 121 - 31. )