October 31, 2019 Vol. 381 No. 18
進行性線維化を伴う間質性肺疾患に対するニンテダニブ
Nintedanib in Progressive Fibrosing Interstitial Lung Diseases
K.R. Flaherty and Others
細胞内チロシンキナーゼ阻害薬であるニンテダニブは,肺線維化の進行に関わる過程を阻害することが前臨床データから示唆されている.ニンテダニブの特発性肺線維症に対する有効性は示されているが,さまざまな線維化肺疾患に対する有効性は明らかにされていない.
15 ヵ国で行った二重盲検プラセボ対照第 3 相試験で,高分解能 CT で肺容積の 10%超に肺線維化を認める患者を,ニンテダニブ 150 mg を 1 日 2 回投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.すべての患者が,治療にかかわらず過去 24 ヵ月以内に間質性肺疾患が進行したという基準を満たし,努力肺活量(FVC)は予測値の 45%以上で,一酸化炭素肺拡散能は予測値の 30%以上 80%未満であった.無作為化は,高分解能 CT の線維化パターン(通常型間質性肺炎 [UIP] パターンまたはその他の線維化パターン)で層別化した.主要エンドポイントは,52 週にわたり評価した FVC の年間低下率とした.集団全体と UIP 様線維化パターンの患者の 2 つの集団を主要解析対象集団とした.
663 例が投与を受けた.集団全体における補正後の FVC 低下率は,ニンテダニブ群で -80.8 mL/年,プラセボ群で -187.8 mL/年であり,群間差は 107.0 mL/年(95%信頼区間 [CI] 65.4~148.5)であった(P<0.001).UIP 様線維化パターンの患者における補正後の FVC 低下率は,ニンテダニブ群で -82.9 mL/年,プラセボ群で -211.1 mL/年であり,群間差は 128.2 mL/年(95% CI 70.8~185.6)であった(P<0.001).もっとも頻度が高かった有害事象は下痢で,ニンテダニブ群の 66.9%とプラセボ群の 23.9%で報告された.ニンテダニブ群ではプラセボ群よりも,肝機能検査値異常が認められた患者が多かった.
進行性線維化を伴う間質性肺疾患患者において,ニンテダニブの投与を受けた例は,プラセボの投与を受けた例よりも FVC の年間低下率が有意に小さかった.頻度の高かった有害事象は下痢であった.(ベーリンガーインゲルハイム社から研究助成を受けた.INBUILD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02999178)