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November 21, 2019 Vol. 381 No. 21

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PCI 後の高リスク患者におけるチカグレロルのアスピリン併用と非併用との比較
Ticagrelor with or without Aspirin in High-Risk Patients after PCI

R. Mehran and Others

背景

抗血小板薬 2 剤併用療法を最小限の期間行ったあとに行う P2Y12 阻害薬の単剤療法は,経皮的冠動脈インターベンション(PCI)後の出血リスクを低下させるための新たなアプローチである.

方 法

二重盲検試験で,PCI を施行した,出血または虚血性イベントのリスクの高い患者を対象に,臨床的に重要な出血に関する影響を,チカグレロルの単剤療法とチカグレロルとアスピリンの併用療法とで比較した.チカグレロル+アスピリンによる治療を 3 ヵ月間行ったあと,大出血イベントまたは虚血性イベントが発生しなかった患者を,チカグレロル投与を継続しながら 1 年間アスピリンを投与する群またはプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,出血に関する学術研究コンソーシアム(BARC)分類タイプ 2,3,5 の出血とした.絶対差マージンを 1.6 パーセントポイントとする非劣性仮説を用いて,全死因死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の複合エンドポイントについても評価した.

結 果

9,006 例を登録し,3 ヵ月後に 7,119 例が無作為化された.無作為化後 1 年間における主要エンドポイントの発生率は,無作為化でチカグレロル+プラセボ群に割り付けられた患者で 4.0%,チカグレロル+アスピリン群に割り付けられた患者で 7.1%であった(ハザード比 0.56,95%信頼区間 [CI] 0.45~0.68,P<0.001).BARC 分類タイプ 3 と 5 の出血についても,群間のリスクの差は同程度であった(発生率はチカグレロル+プラセボが投与された患者 1.0%とチカグレロル+アスピリンが投与された患者 2.0%,ハザード比 0.49,95% CI 0.33~0.74).全死因死亡,非致死的心筋梗塞,非致死的脳卒中の発生率は,両群とも 3.9%であった(差 -0.06 パーセントポイント,95% CI -0.97~0.84,ハザード比 0.99,95% CI 0.78~1.25,非劣性の P<0.001).

結 論

PCI を施行し,3 ヵ月間の抗血小板薬 2 剤併用療法を完了した高リスクの患者において,チカグレロルの単剤療法は,チカグレロルとアスピリンの併用療法と比較して臨床的に重要な出血の発生率が低いことに関連しており,死亡,心筋梗塞,脳卒中のリスクが高くなることはなかった.(アストラゼネカ社から研究助成を受けた.TWILIGHT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02270242)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2032 - 42. )