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November 28, 2019 Vol. 381 No. 22

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臨床的確率に合わせた D ダイマー値による肺塞栓症の診断
Diagnosis of Pulmonary Embolism with D-Dimer Adjusted to Clinical Probability

C. Kearon and Others

背景

肺塞栓症は,臨床的検査前確率(C-PTP)が低い患者では D ダイマー値 1,000 ng/mL 未満で除外され,C-PTP が中等度の患者では D ダイマー値 500 ng/mL 未満で除外されることが,いくつかの後ろ向き解析から示唆されている.

方 法

C-PTP が低く D ダイマー値が 1,000 ng/mL 未満であるか,C-PTP が中等度で D ダイマー値が 500 ng/mL 未満の外来患者は,それ以上検査を行わなくても肺塞栓症が除外されると考え,前向き研究を行った.その他の患者全例に胸部画像検査(通常は CT 肺血管造影)を行った.肺塞栓症と診断されなかった場合は,患者は抗凝固療法を受けなかった.静脈血栓塞栓症を検出するため,全例を 3 ヵ月間追跡した.

結 果

2,017 例を登録し,評価した.このうち 7.4%に診断のための最初の検査で肺塞栓症が認められた.C-PTP が低い(1,285 例)または中等度(40 例)で,D ダイマー陰性(すなわちそれぞれ 1,000 ng/mL 未満,500 ng/mL 未満)であった 1,325 例のうち,追跡期間中に静脈血栓塞栓症が認められた患者はいなかった(95%信頼区間 [CI] 0.00~0.29%).このうち 315 例は,C-PTP が低く D ダイマー値が 500~999 ng/mL であった(95% CI 0.00~1.20%).最初に肺塞栓症の診断を受けず,抗凝固療法を受けなかった 1,863 例のうち,1 例(0.05%,95% CI 0.01~0.30)に静脈血栓塞栓症が認められた.この研究の診断戦略では,患者の 34.3%が胸部画像検査を受けることになった.これに対し,C-PTP が低く D ダイマー値が 500 ng/mL 未満の場合肺塞栓症が除外されると考える戦略であれば,51.9%が胸部画像検査を受けることになる(差 -17.6 パーセントポイント,95% CI -19.2~-15.9).

結 論

C-PTP が低いことと D ダイマー値が 1,000 ng/mL 未満であることを組み合わせることで,追跡期間中の肺塞栓症リスクが低い患者群が同定された.(カナダ国立保健研究機構ほかから研究助成を受けた.PEGeD 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02483442)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2125 - 34. )