The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

December 12, 2019 Vol. 381 No. 24

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

電気ショック非適応リズムの心停止に対する目標体温管理
Targeted Temperature Management for Cardiac Arrest with Nonshockable Rhythm

J.-B. Lascarrou and Others

背景

院外心停止からの蘇生後に昏睡が持続している成人に対しては,神経学的転帰を改善するために,現在は中等度低体温療法が推奨されている.しかし,電気ショック非適応リズム(心静止または無脈性電気活動)の患者における中等度低体温療法の有効性については議論がある.

方 法

電気ショック非適応リズムの心停止からの蘇生後,集中治療室(ICU)に入室した昏睡状態の患者で,中等度低体温療法(開始後 24 時間は 33℃)と目標体温を設定した常温療法(37℃)とを比較する非盲検無作為化比較試験を行った.主要転帰は好ましい神経学的転帰を伴う生存とし,無作為化後 90 日の時点で,脳機能カテゴリー(CPC)スケール(1~5 で,スコアが高いほど障害が大きいことを示す)を用いて評価した.良好な神経学的転帰は CPC が 1 または 2 と定義した.転帰の評価は盲検下で行った.死亡率と安全性も評価した.

結 果

2014 年 1 月~2018 年 1 月に,25 の ICU に入室した 584 例が無作為化され,581 例を解析の対象とした(3 例は同意を撤回した).90 日の時点で,CPC 1 または 2 で生存していた患者は,低体温療法群では 284 例中 29 例(10.2%)であったのに対し,常温療法群では 297 例中 17 例(5.7%)であった(差 4.5 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 0.1~8.9,P=0.04).90 日死亡率に,低体温療法群と常温療法群とのあいだで有意差は認められなかった(それぞれ 81.3%と 83.2%,差 -1.9 パーセントポイント,95% CI -8.0~4.3).事前に規定した有害事象の発現率に,群間で有意差は認められなかった.

結 論

電気ショック非適応リズムの心停止から蘇生した昏睡状態の患者では,33℃を 24 時間維持する中等度低体温療法のほうが,目標体温を設定した常温療法と比較して,90 日の時点で好ましい神経学的転帰で生存している患者の割合が高かった.(フランス保健省ほかから研究助成を受けた.HYPERION 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01994772)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 2327 - 37. )