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August 22, 2019 Vol. 381 No. 8

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652 都市における粒子状物質による大気汚染と 1 日死亡率
Ambient Particulate Air Pollution and Daily Mortality in 652 Cities

C. Liu and Others

背景

大気汚染に関する時系列研究の結果の系統的評価は,モデル指定の違いと出版バイアスにより困難になっている.

方 法

空気動力学径が 10μm 以下の吸入可能な粒子状物質(PM10)および 2.5μm 以下の微小粒子状物質(PM2.5)と,1 日あたりの全死因死亡率,心血管系死亡率,呼吸器系死亡率との関連を,複数の国と地域で評価した.24 の国と地域の 652 都市から死亡率と大気汚染の毎日のデータを収集した.関連を調査するため,一般化加法モデル(過分散が生じる)と,変量効果モデルを用いた.関連の頑健性を検証するため,2 つの汚染物質のモデルを当てはめた.世界全体の予測値を得られるよう,各都市の濃度–反応曲線をプールした.

結 果

PM10 濃度の 2 日移動平均(当日と前日の平均を表す)の 10μg/m3 の上昇は,平均して 1 日あたりの全死因死亡率の 0.44%(95%信頼区間 [CI] 0.39~0.50)の上昇,心血管系死亡率の 0.36%(95% CI 0.30~0.43)の上昇,呼吸器系死亡率の 0.47%(95% CI 0.35~0.58)の上昇を伴った.PM2.5 濃度の同じ変化量に伴う 1 日死亡率の上昇は,それぞれ 0.68%(95% CI 0.59~0.77),0.55%(95% CI 0.45~0.66),0.74%(95% CI 0.53~0.95)であった.これらの関連は,ガス状汚染物質について補正後も依然として有意であった.関連は年間平均 PM 濃度が低く,年間平均気温が高い地域ほど強かった.プールした濃度–反応曲線では,PM 濃度上昇に伴い 1 日死亡率は一貫した上昇を示し,PM 濃度が低いほど勾配は急であった.

結 論

われわれのデータは,世界中の 600 を超える都市で,PM10 と PM2.5 への短期曝露と,1 日あたりの全死因死亡率,心血管系死亡率,呼吸器系死亡率との独立した関連を示している.これらのデータは,地域および地方の研究で立証されている死亡率と PM 濃度との関連のエビデンスを強化する.(中国国家自然科学基金ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 705 - 15. )