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August 22, 2019 Vol. 381 No. 8

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3 クラス抵抗性の多発性骨髄腫に対するセリネクソール+デキサメタゾン経口投与
Oral Selinexor–Dexamethasone for Triple-Class Refractory Multiple Myeloma

A. Chari and Others

背景

核外輸送物質の選択的阻害薬であるセリネクソール(selinexor)は,エクスポーチン 1(XPO1)を阻害して,腫瘍抑制蛋白の核内蓄積と活性化を促進し,核内因子κB を阻害し,腫瘍蛋白メッセンジャー RNA 翻訳を抑制する.現在の治療選択肢に抵抗性を示す骨髄腫の新規治療薬となる可能性がある.

方 法

骨髄腫を有し,ボルテゾミブ,カルフィルゾミブ,レナリドミド,ポマリドミド,ダラツムマブ,アルキル化薬による治療歴があり,1 種類以上のプロテアソーム阻害薬,1 種類以上の免疫調節薬,ダラツムマブに抵抗性(3 クラス抵抗性)を示す患者に,セリネクソール(80 mg)+デキサメタゾン(20 mg)を週 2 回経口投与した.主要評価項目は全奏効とし,部分奏効以上と定義し,判定は独立判定委員会が行った.副次的評価項目は臨床的利益とし,最小奏効以上と定義した.

結 果

米国と欧州の患者の計 122 例を修正 intention-to-treat 集団とし(主要解析),123 例を安全性解析集団とした.年齢中央値は 65 歳であり,それまでに受けたレジメン数の中央値は 7 であった.患者の 53%が高リスクの細胞遺伝学的異常を有していた.部分奏効以上は患者の 26%(95%信頼区間 19~35)で観察され,厳格な完全奏効 2 例が含まれ,39%で最小奏効以上が観察された.奏効期間の中央値は 4.4 ヵ月,無増悪生存期間の中央値は 3.7 ヵ月,全生存期間の中央値は 8.6 ヵ月であった.疲労,悪心,食欲不振が頻度の高い有害事象であり,その多くはグレード 1 または 2 であった(グレード 3 の事象は患者の最大 25%にみられ,グレード 4 の事象は報告されなかった).73%に血小板減少が認められた(グレード 3 は 25%,グレード 4 は 33%).血小板減少によるグレード 3 以上の出血イベントが 6 例に生じた.

結 論

現在利用可能な治療に抵抗性を示す骨髄腫の患者において,セリネクソール+デキサメタゾンは客観的奏効をもたらした.(カリオファーム セラピューティクス社から研究助成を受けた.STORM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02336815)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2019; 381 : 727 - 38. )