米国の Clostridioides difficile 感染症と転帰の負担の経時的動向
Trends in U.S. Burden of Clostridioides difficile Infection and Outcomes
A.Y. Guh and Others
Clostridioides difficile(C. difficile)感染症を予防する取組みは,米国の医療領域全体で広がり続けている.これらの取組みが米国における C. difficile 感染症の負担を減少させているかどうかは明らかにされていない.
「新興感染症プログラム」は,米国の 10 拠点で C. difficile 感染症例(1 歳以上で過去 8 週間に C. difficile 陽性歴がない人の便検体における陽性)を同定した.症例と国勢調査のサンプリングの重みを用いて 2011~17 年の米国における C. difficile 感染症,初回再発,入院,院内死亡の負担を推定した.医療関連感染は医療施設で発症した症例,または最近の医療施設への入院に関連する症例と定義し,それ以外はすべて市中感染に分類した.経時的動向の分析には,負の二項分布による重み付けランダム切片モデルとロジスティック回帰モデルを用いて,核酸増幅検査(NAAT)の,他の検査よりも高い感度を補正した.
米国の 10 拠点での C. difficile 感染症例数は,2011 年が 15,461 件(医療関連感染 10,177 件,市中感染 5,284 件),2017 年が 15,512 件(医療関連感染 7,973 件,市中感染 7,539 件)であった.米国における C. difficile 感染症の負担の推定値は,2011 年が 476,400 件(95%信頼区間 [CI] 419,900~532,900,2017 年が 462,100 件(95% CI 428,600~495,600)であった.NAAT の使用を考慮すると,C. difficile 感染症の総負担の補正後の推定値は,2011~17 年に全体で 24%(95% CI 6~36)低下し,医療関連 C. difficile 感染症は 36%(95% CI 24~54)低下したが,市中 C. difficile 感染症では変化がなかった.C. difficile 感染症による入院の負担の補正後の推定値は 24%(95% CI 0~48)低下したが,初回再発と院内死亡の負担の補正後の推定値に有意な変化はみられなかった.
米国における C. difficile 感染症とそれに伴う入院の負担の推定値は,医療関連感染症の減少により,2011~17 年に低下した.(米国疾病管理予防センターから研究助成を受けた.)