The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

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日本語アブストラクト

May 7, 2020 Vol. 382 No. 19

重症 Covid-19 で入院中の成人に対するロピナビル・リトナビル投与の試み
A Trial of Lopinavir–Ritonavir in Adults Hospitalized with Severe Covid-19

B. Cao and Others

背景

SARS-CoV-2 によって引き起こされる重症疾患に対する有効性が証明された治療法はまだ存在しない.

方 法

呼吸器疾患 Covid-19 を引き起こす SARS-CoV-2 への感染が確認され,室内気で酸素飽和度(SaO2)94%以下であるか,動脈血酸素分圧/吸入酸素濃度比(PaO2/FIO2)300 mmHg 未満である入院中の成人患者を対象に無作為化比較非盲検試験を行った.患者を,標準治療に加えてロピナビル・リトナビル(それぞれ 400 mg,100 mg)を 1 日 2 回 14 日間投与する群と,標準治療のみを行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは臨床的改善までの期間とし,無作為化から,7 項目の順序尺度での 2 ポイントの改善または退院の,いずれかが先に発生するまでの期間と定義した.

結 果

検査で SARS-CoV-2 感染が確認された 199 例が無作為化された.99 例がロピナビル・リトナビル群,100 例が標準治療群に割り付けられた.ロピナビル・リトナビルによる治療は臨床的改善までの期間に関して,標準治療と差がなかった(臨床的改善のハザード比 1.31,95%信頼区間 [CI] 0.95~1.80).28 日死亡率はロピナビル・リトナビル群と標準治療群で同程度であった(19.2% 対 25.0%,差 -5.8 パーセントポイント,95% CI -17.3~5.7).何度かの時点でウイルス RNA が検出可能であった患者の割合は,2 群で同程度であった.修正 intention-to-treat 解析では,ロピナビル・リトナビルがもたらした臨床的改善までの期間の中央値は,標準治療で観察された期間よりも 1 日短かった(ハザード比 1.39,95% CI 1.00~1.91).消化器系有害事象はロピナビル・リトナビル群のほうが多かったが,重篤な有害事象は標準治療群のほうが多かった.ロピナビル・リトナビル投与は,有害事象のため 13 例で早期に中止された.

結 論

重症 Covid-19 で入院中の成人患者において,ロピナビル・リトナビル投与に標準治療を上回る利益は認められなかった.重症患者を対象とする将来の臨床試験は,治療による利益の可能性を確認または排除するのに役立つかもしれない.(中国国家科学技術の新薬の創出・開発に関する大規模プロジェクトほかから研究助成を受けた.Chinese Clinical Trial 登録番号 ChiCTR2000029308)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 382 : 1787 - 99. )