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November 19, 2020 Vol. 383 No. 21

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新規発症 1 型糖尿病の若年者におけるゴリムマブとβ細胞機能
Golimumab and Beta-Cell Function in Youth with New-Onset Type 1 Diabetes

T. Quattrin and Others

背景

1 型糖尿病は,膵β細胞の進行性の減少を特徴とする自己免疫疾患である.ゴリムマブは,成人および小児のいくつかの自己免疫疾患の治療薬としてすでに承認されている,腫瘍壊死因子αに特異的なヒトモノクローナル抗体である.ゴリムマブによって顕性(第 3 期)1 型糖尿病と新たに診断された若年者のβ細胞機能を保持しうるかは明らかにされていない.

方 法

第 2 相多施設共同プラセボ対照二重盲検並行群間試験で,顕性 1 型糖尿病と新たに診断された小児および若年成人(6~21 歳)を,ゴリムマブの皮下投与を 52 週間受ける群とプラセボの投与を受ける群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は内因性インスリン分泌能とし,52 週の時点での,4 時間混合食負荷試験によって分泌された C-ペプチドの濃度–時間曲線下面積(4 時間 C-ペプチド AUC)で評価した.副次的および追加的評価項目は,インスリン使用量,糖化ヘモグロビン値,低血糖イベント数,経時的な空腹時プロインスリン/C-ペプチド比,反応のプロファイルなどとした.

結 果

84 例が無作為化され,56 例はゴリムマブ群,28 例はプラセボ群に割り付けられた.52 週の時点での 4 時間 C-ペプチド AUC の平均値(±SD)は,ゴリムマブ群とプラセボ群で有意に異なった(0.64±0.42 pmol/mL 対 0.43±0.39 pmol/mL,P<0.001).目標達成に向けた治療(treat-to-target)アプローチにより両群とも良好な血糖コントロールが得られ,糖化ヘモグロビン値に群間で有意差は認められなかった.インスリン使用量はゴリムマブ群のほうがプラセボ群よりも少なかった.部分寛解反応(インスリン量で調整した糖化ヘモグロビン値スコア [糖化ヘモグロビン値+4×インスリン量で算出] ≦9 と定義)はゴリムマブ群の 43%とプラセボ群の 7%で認められた(差 36 パーセントポイント,95% CI 22~55).低血糖イベント数の平均値に群間で差は認められなかった.試験担当医師の判断により有害事象として記録された低血糖イベントは,ゴリムマブ群の 13 例(23%)とプラセボ群の 2 例(7%)で報告された.ゴリムマブに対する抗体は,投与を受けた 30 例に検出された.29 例は抗体価が 1:1,000 未満であり,そのうち 12 例が中和抗体陽性であった.

結 論

顕性 1 型糖尿病と新たに診断された小児および若年成人のうち,ゴリムマブの投与を受けた例は,プラセボの投与を受けた例よりも内因性インスリン分泌能が良好であり,外因性インスリンの使用量が少なかった.(ヤンセン・リサーチ・アンド・ディベロップメント社から研究助成を受けた.T1GER 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02846545)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 2007 - 17. )