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August 6, 2020 Vol. 383 No. 6

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多発性硬化症に対するオファツムマブとテリフルノミドとの比較
Ofatumumab versus Teriflunomide in Multiple Sclerosis

S.L. Hauser and Others

背景

抗 CD20 モノクローナル抗体の皮下注射剤であるオファツムマブは,B 細胞を選択的に減少させる.経口ピリミジン合成阻害薬であるテリフルノミド(teriflunomide)は,T 細胞と B 細胞の活性化を抑制する.多発性硬化症患者におけるこれらの 2 剤の相対的な効果は明らかにされていない.

方 法

2 件の二重盲検ダブルダミー第 3 相試験で,再発性多発性硬化症患者を,オファツムマブ(1,7,14 日目に負荷用量 20 mg,その後は 4 週ごとに 20 mg)を皮下投与する群とテリフルノミド(14 mg/日)を経口投与する群に無作為に割り付け,最長 30 ヵ月間投与した.主要エンドポイントは年間再発率とした.副次的エンドポイントは,3 ヵ月または 6 ヵ月の時点で確認された障害の悪化,6 ヵ月の時点で確認された障害の改善,T1 強調 MRI の 1 回のスキャンあたりのガドリニウム増強病変の数,T2 強調 MRI 上の新規病変または拡大病変の年間発生率,3 ヵ月の時点での血清ニューロフィラメント軽鎖濃度,脳容積の変化率などとした.

結 果

全体で,946 例がオファツムマブ群,936 例がテリフルノミド群に割り付けられた.追跡期間中央値は 1.6 年であった.オファツムマブ群とテリフルノミド群の年間再発率は,試験 1 ではそれぞれ 0.11 と 0.22(差 -0.11,95%信頼区間 [CI] -0.16~-0.06,P<0.001),試験 2 では 0.10 と 0.25(差 -0.15,95% CI -0.20~-0.09,P<0.001)であった.2 試験を統合すると,3 ヵ月の時点で障害の悪化が確認された患者の割合はオファツムマブ群で 10.9%,テリフルノミド群で 15.0%(ハザード比 0.66,P=0.002),6 ヵ月の時点ではそれぞれ 8.1%と 12.0%(ハザード比 0.68,P=0.01),6 ヵ月の時点で障害の改善が確認された患者の割合は 11.0%と 8.1%であった(ハザード比 1.35,P=0.09).T1 強調 MRI の 1 回のスキャンあたりのガドリニウム増強病変の数,T2 強調 MRI 上の病変の年間発生率,血清ニューロフィラメント軽鎖濃度には主要エンドポイントと同じ傾向が認められたが,脳容積の変化率については認められなかった.注射関連反応はオファツムマブ群の 20.2%と,テリフルノミド群(プラセボ注射)の 15.0%に発現した.重篤な感染症はそれぞれ 2.5%と 1.8%に発現した.

結 論

多発性硬化症患者において,オファツムマブは,テリフルノミドよりも年間再発率が低いことに関連した.(ノバルティス社から研究助成を受けた.ASCLEPIOS I 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02792218,ASCLEPIOS II 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02792231)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2020; 383 : 546 - 57. )