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March 25, 2021 Vol. 384 No. 12

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アトピー性皮膚炎に対するアブロシチニブと,プラセボまたはデュピルマブとの比較
Abrocitinib versus Placebo or Dupilumab for Atopic Dermatitis

T. Bieber and Others

背景

アブロシチニブ(abrocitinib)は,インターロイキン-4 とインターロイキン-13 のシグナル伝達を抑制する経口ヤヌスキナーゼ 1(JAK1)阻害薬であり,アトピー性皮膚炎の治療薬として検討されている.JAK1 阻害薬と,デュピルマブのようなインターロイキン-4 受容体を遮断するモノクローナル抗体とを比較する試験のデータは限られている.

方 法

第 3 相二重盲検試験で,外用薬では効果が不十分であるか,全身療法を要するアトピー性皮膚炎の患者を,アブロシチニブ 200 mg を 1 日 1 回経口投与する群,同 100 mg を 1 日 1 回経口投与する群,デュピルマブ 300 mg(負荷投与量 600 mg)を隔週で皮下投与する群,プラセボを投与する群に(2:2:2:1 の割合で)無作為に割り付けた.全例に外用療法も行った.主要評価項目は,12 週の時点における,医師による全般的評価(IGA)での奏効(IGA スコア [0~4] が 0 [皮疹の消失] または 1 [ほぼ消失] であり,ベースラインから 2 ポイント以上改善と定義)と,湿疹面積・重症度指数-75(EASI-75)の達成率(EASI スコア [0~72] がベースラインから 75%以上改善と定義)とした.主な副次的評価項目は,2 週の時点における瘙痒の改善(瘙痒数値評価尺度スコア [0~10] の日内最大値が 4 ポイント以上改善と定義),16 週の時点における IGA での奏効とEASI-75 の達成率とした.

結 果

838 例が無作為化され,226 例がアブロシチニブ 200 mg 群,238 例が 100 mg 群,243 例がデュピルマブ群,131 例がプラセボ群に割り付けられた.12 週の時点における IGA での奏効は,アブロシチニブ 200 mg 群の 48.4%, 100 mg 群の 36.6%,デュピルマブ群の 36.5%,プラセボ群の 14.0%に認められ(アブロシチニブの各用量とプラセボとの比較について P<0.001),12 週の時点における EASI-75 達成率は,それぞれ 70.3%,58.7%,58.1%,27.1%であった(アブロシチニブの各用量とプラセボとの比較について P<0.001).2 週の時点における瘙痒の改善について,アブロシチニブ 200 mg はデュピルマブに対して優越性を示したが,100 mg は優越性を示さなかった.16 週の時点におけるそのほかの主な副次的評価項目の大半に関する比較では,アブロシチニブのいずれの用量もデュピルマブとのあいだに有意差を示さなかった.アブロシチニブ 200 mg 群の 11.1%と 100 mg 群の 4.2%に悪心が発現し,それぞれ 6.6%と2.9%に痤瘡が発現した.

結 論

この試験で,アブロシチニブは 200 mg と 100 mg のいずれの用量でも, 1 日 1 回の投与で 12 週および 16 週の時点における中等症~重症のアトピー性皮膚炎の徴候・症状をプラセボと比較して有意に大きく軽減させた.2 週の時点における瘙痒の改善について,アブロシチニブ 200 mg はデュピルマブに対して優越性を示したが,100 mg は優越性を示さなかった.16 週の時点におけるそのほかの主な副次的評価項目の大半に関する比較では,アブロシチニブのいずれの用量もデュピルマブとのあいだに有意差は認められなかった.(ファイザー社から研究助成を受けた.JADE COMPARE試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03720470)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1101 - 12. )