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March 25, 2021 Vol. 384 No. 12

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非アルコール性脂肪肝炎に対するセマグルチド皮下投与のプラセボ対照試験
A Placebo-Controlled Trial of Subcutaneous Semaglutide in Nonalcoholic Steatohepatitis

P.N. Newsome and Others

背景

非アルコール性脂肪肝炎(NASH)は頻度の高い疾患であり,高い合併症発症率と死亡率を伴うが,治療の選択肢は限られている.NASH 患者におけるグルカゴン様ペプチド 1(GLP-1)受容体作動薬セマグルチドの有効性と安全性は不明である.

方 法

生検で NASH の診断が確定し,肝線維化ステージが F1,F2,F3 のいずれかの患者を対象に,72 週間の二重盲検第 2 相試験を行った.患者を,セマグルチド 0.1 mg,0.2 mg,0.4 mg を 1 日 1 回皮下投与する群と,対応するプラセボを投与する群に 3:3:3:1:1:1 の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は,肝線維化の増悪を伴わない NASH の消散とした.確証的副次的評価項目は,NASH の増悪を伴わない肝線維化ステージの 1 段階以上の改善とした.これらの評価項目の解析は肝線維化ステージが F2 または F3 の患者のみを対象に行い,その他の解析はすべての患者を対象に行った.

結 果

計 320 例(うち 230 例は肝線維化ステージ F2 または F3)が,セマグルチド 0.1 mg 群(80 例),同 0.2 mg 群(78 例),同 0.4 mg 群(82 例),プラセボ群(80 例)に無作為に割り付けられた.肝線維化の増悪を伴わずに NASH の消散を達成した患者の割合は,0.1 mg 群 40%,0.2 mg 群 36%,0.4 mg 群 59%,プラセボ群 17%であった(セマグルチド 0.4 mg 対 プラセボ,P<0.001).肝線維化ステージの改善は,0.4 mg 群の 43%とプラセボ群の 33%に認められた(P=0.48).体重減少率の平均値は,0.4 mg 群で 13%,プラセボ群で 1%であった.悪心,便秘,嘔吐の発現率は 0.4 mg 群がプラセボ群よりも高かった(悪心 42% 対 11%,便秘 22% 対 12%,嘔吐 15% 対 2%).悪性新生物がセマグルチド投与を受けた 3 例(1%)で報告されたが,プラセボ投与を受けた患者では報告されなかった.全体として新生物(良性,悪性,または良性・悪性の別不詳)がセマグルチド群の15%とプラセボ群の 8%で報告されたが,特定の臓器に発現するパターンは認められなかった.

結 論

NASH 患者を対象とした第 2 相試験において,セマグルチド群では,プラセボ群と比較して NASH が消散した患者の割合が有意に高かった.しかし,肝線維化ステージが改善した患者の割合に群間で有意差は認められなかった.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02970942)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1113 - 24. )