The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

March 25, 2021 Vol. 384 No. 12

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

治療歴のある進行尿路上皮癌に対するエンホルツマブ ベドチン
Enfortumab Vedotin in Previously Treated Advanced Urothelial Carcinoma

T. Powles and Others

背景

進行尿路上皮癌患者では,白金製剤を含む化学療法,およびプログラム細胞死蛋白 1(PD-1)/プログラム死リガンド 1(PDL1)阻害薬による治療後の全生存率は低い.

方 法

白金製剤を含む化学療法歴があり,PD-1/PD-L1 阻害薬による治療中または治療後に病勢が進行した局所進行または転移性尿路上皮癌患者の治療におけるエンホルツマブ ベドチン(enfortumab vedotin)の国際共同非盲検第 3 相試験を行った.患者を,エンホルツマブ ベドチン(28 日サイクルの 1 日目,8 日目,15 日目に 1.25 mg/kg 体重)を投与する群と,試験責任医師が選択した標準化学療法(ドセタキセル,パクリタキセル,ビンフルニン [vinflunine] のいずれか)を 21 日サイクルの 1 日目に行う群に 1:1の割合で無作為に割り付けた.主要評価項目は全生存期間とした.

結 果

計 608 例が無作為化され,301 例がエンホルツマブ ベドチン群,307 例が化学療法群に割り付けられた.2020 年 7 月 15 日の時点で 301 例(エンホルツマブ ベドチン群 134 例,化学療法群167 例)が死亡していた.事前に規定した中間解析の時点で,追跡期間の中央値は 11.1 ヵ月であった.全生存期間はエンホルツマブベドチン群が化学療法群よりも長かった(全生存期間中央値 12.88 ヵ月 対 8.97 ヵ月,死亡のハザード比 0.70,95%信頼区間 [CI] 0.56~0.89,P=0.001).無増悪生存期間もエンホルツマブ ベドチン群が化学療法群よりも長かった(無増悪生存期間中央値 5.55 ヵ月 対 3.71 ヵ月,進行または死亡のハザード比 0.62,95% CI 0.51~0.75,P<0.001).治療関連有害事象の発現率は 2 群で同程度であり(エンホルツマブ ベドチン群 93.9%,化学療法群 91.8%),グレード 3 以上の治療関連有害事象の発現率も 2 群で同程度であった(それぞれ 51.4%と 49.8%).

結 論

白金製剤ベースの化学療法および PD-1/PD-L1 阻害薬による治療歴のある局所進行または転移性尿路上皮癌患者において,エンホルツマブ ベドチンは,標準化学療法と比較して生存期間を有意に延長した.(アステラス ファーマ US 社,シーゲン社から研究助成を受けた.EV-301 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03474107)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 1125 - 35. )