重症・コントロール不良喘息を有する成人および思春期児に対するテゼペルマブ
Tezepelumab in Adults and Adolescents with Severe, Uncontrolled Asthma
A. Menzies-Gow and Others
胸腺間質性リンパ球新生因子は,喘息の発症機序に関わる上皮細胞由来サイトカインである.テゼペルマブ(tezepelumab)は,この因子を遮断するヒトモノクローナル抗体である.重症・コントロール不良喘息患者におけるテゼペルマブの有効性と安全性について,さらなる評価が必要とされている.
第 3 相多施設共同無作為化二重盲検プラセボ対照試験を行った.患者(12~80 歳)を,テゼペルマブ(210 mg)の皮下投与を 4 週ごとに 52 週間行う群とプラセボ群に無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,52 週間における喘息増悪の年間発生率とした.このエンドポイントは,ベースラインの血中好酸球数が 300/μL 未満の患者についても評価した.副次的評価項目は,1 秒量(FEV1)と,6 点満点の喘息コントロール質問票(ACQ-6)のスコア(0 [支障なし]~6 [重度の支障]),喘息 QOL 質問票(AQLQ)のスコア(1 [重度の支障]~7 [支障なし]),喘息症状日誌(ASD)のスコア(0 [症状なし]~4[起こりうる最悪の症状])などとした.
1,061 例が無作為化された(テゼペルマブ群 529 例,プラセボ群 532 例).喘息増悪の年間発生率は,テゼペルマブ群で 0.93(95%信頼区間 [CI] 0.80~1.07),プラセボ群で 2.10(95% CI 1.84~2.39)であった(率比 0.44,95% CI 0.37~0.53,P<0.001).血中好酸球数が 300/μL 未満の患者における年間発生率は,テゼペルマブ群で 1.02(95% CI 0.84~1.23),プラセボ群で 1.73(95% CI 1.46~2.05)であった(率比 0.59,95% CI 0.46~0.75,P<0.001).52 週の時点で,テゼペルマブ群ではプラセボ群よりも,気管支拡張薬投与前の FEV1 が大幅に改善し(0.23 L 対 0.09 L,差 0.13 L,95% CI 0.08~0.18,P<0.001),ACQ-6 スコア(-1.55 対 -1.22,差 -0.33,95% CI -0.46~-0.20,P<0.001),AQLQ スコア(1.49 対 1.15,差 0.34,95% CI 0.20~0.47,P<0.001),ASD スコア(-0.71 対 -0.59,差 -0.12,95% CI -0.19~-0.04,P=0.002)も大幅に改善した.有害事象の頻度と種類に,群間で有意差は認められなかった.
重症・コントロール不良喘息患者にテゼペルマブを投与した場合,プラセボを投与した場合と比較して増悪が少なく,肺機能,喘息コントロール,健康関連 QOL が良好であった.(アストラゼネカ社,アムジェン社から研究助成を受けた.NAVIGATOR 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03347279)