The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 28, 2021 Vol. 384 No. 4

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

心房細動に対する初回治療としてのクライオバルーンアブレーション
Cryoballoon Ablation as Initial Therapy for Atrial Fibrillation

O.M. Wazni and Others

背景

薬物療法無効の有症候性発作性心房細動患者の洞調律維持には,カテーテルアブレーションのほうが抗不整脈薬療法よりも有効である.しかし,初回治療の第一選択としてのクライオバルーンアブレーション(冷凍焼灼術)の安全性と有効性は確立されていない.

方 法

多施設共同試験で,リズムコントロール療法歴のない 18~80 歳の発作性心房細動患者を,抗不整脈薬(クラス I またはIII)の投与を行う群とクライオバルーンによる肺静脈隔離術を施行する群に(1:1 の割合で)無作為に割り付けた.不整脈のモニタリングとして,ベースラインおよび 1,3,6,12 ヵ月の時点における12 誘導心電図,3~12 ヵ月目に毎週および症状発現時に患者に電話してもらう電話モニタリング,6 ヵ月および 12 ヵ月の時点における 24 時間心電図記録などを行った.主要有効性エンドポイントは治療の成功(最初の手技の失敗がなく,手技後の回復と薬剤の用量調節を行うことのできる 90 日間のブランキング期間後の心房性不整脈の再発もないことと定義し,Kaplan–Meier 解析で評価)とした.主要安全性エンドポイントはアブレーション群でのみ評価し,手技関連,クライオバルーンシステム関連のいくつかの重篤な有害事象の複合とした.

結 果

無作為化され治療された 203 例のうち,104 例がアブレーション,99 例が最初に薬物療法を受けた.アブレーション群では,患者の 97%で最初の手技が成功した.12 ヵ月の時点で治療が成功している患者の割合の Kaplan–Meier 推定値は,アブレーション群 74.6%(95%信頼区間 [CI] 65.0~82.0),薬物療法群 45.0%(95% CI34.6~54.7)であった(log-rank 検定で P<0.001).アブレーション群では主要安全性エンドポイントイベントが 2 件発生した(12 ヵ月以内にイベントが発生する患者の割合の Kaplan–Meier 推定値 1.9%,95% CI 0.5~7.5).

結 論

初回治療としてのクライオバルーンアブレーションは,発作性心房細動患者の心房性不整脈の再発予防において,薬物療法よりも優れていた.手技に関連する重篤な有害事象の頻度は低かった.(メドトロニック社から支援を受けた.STOP AF First 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03118518)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 316 - 24. )