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February 11, 2021 Vol. 384 No. 6

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医療施設のスタッフにおける抗体保有状況と SARS-CoV-2 感染の発生
Antibody Status and Incidence of SARS-CoV-2 Infection in Health Care Workers

S.F. Lumley and Others

背景

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対する抗体の存在と,その後の再感染リスクとの関係は明らかにされていない.

方 法

英国のオックスフォード大学関連病院で行われた有症状・無症状スタッフ検査に参加し,血清検査で陽性であった人と陰性であった人について,ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)検査で確認される SARS-CoV-2 感染の発生率を調査した.ベースラインの抗体保有状況を抗スパイク IgG 抗体測定法(主要解析)と抗ヌクレオカプシド IgG 抗体測定法で確認し,スタッフを最長 31 週間追跡した.その後の PCR 検査陽性,および症状を伴う新規感染について,抗体保有状況別の相対的発生率を,年齢,参加者が回答した性,発生率の経時的変化で調整して推定した.

結 果

12,541 例が参加し,抗スパイク IgG 抗体が測定された.抗体陰性者として 11,364 例,抗体陽性者として 1,265 例が追跡された.抗体陽性者には追跡期間中に陽転した 88 例が含まれた.抗スパイク IgG 抗体陰性のスタッフでは,223 例が PCR 検査で陽性と判定され(リスク期間 10,000 日あたり 1.09 件),このうち 100 例は無症状者として,123 例は有症状者としてスクリーニングを受けていた.一方,抗スパイク IgG 抗体陽性のスタッフでは,PCR 検査で陽性と判定されたのは 2 例であり(リスク期間 10,000 日あたり 0.13 件),2 例とも検査時には無症状であった(調整後の発生率比 0.11,95%信頼区間 0.03~0.44,P=0.002).抗スパイク抗体を保有するスタッフに症状を伴う感染は確認されなかった.ベースラインの抗体保有状況の評価に抗ヌクレオカプシド IgG 抗体測定法が単独で用いられた場合と,抗スパイク IgG 抗体測定法と併用された場合とで,発生率比は同程度であった.

結 論

抗スパイク IgG 抗体または抗ヌクレオカプシド IgG 抗体の存在は,その後 6 ヵ月間の SARS-CoV-2 再感染リスクが大幅に低いことと関連した.(英国保健省ほかから研究助成を受けた.)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 533 - 40. )