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March 18, 2021 Vol. 384 No. 11

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過体重または肥満の成人に対するセマグルチドの週 1 回投与
Once-Weekly Semaglutide in Adults with Overweight or Obesity

J.P.H. Wilding and Others

背景

肥満は地球規模の健康課題であり,薬物療法の選択肢はほとんどない.肥満成人に,生活習慣介入の補助としてセマグルチド 2.4 mg を週 1 回投与することで減量を達成できるかどうかは確認されていない.

方 法

二重盲検試験において,体格指数(BMI;体重 [kg]/身長 [m]2)が 30 以上(体重に関連する併存疾患を 1 つ以上有する場合は 27 以上)で糖尿病のない成人 1,961 例を登録し,生活習慣介入に加えて,セマグルチド(2.4 mg)を週 1 回,68 週間皮下投与する群と,プラセボを投与する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,体重の変化量(%)と 5%以上の減量の 2 つとした.主要エスティマンド(estimand;臨床試験の目的を反映する精確な治療効果の記述)として,治療中止またはレスキュー介入にかかわらず効果を評価した.

結 果

ベースラインから 68 週までの体重の変化量の平均は,セマグルチド群で -14.9%であったのに対し,プラセボ群では -2.4%であり,推定治療差は -12.4 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] -13.4~-11.5,P<0.001)であった.セマグルチド群ではプラセボ群よりも,68 週時点で 5%以上の減量を達成した参加者が多く(1,047 例 [86.4%] 対 182 例 [31.5%]),10%以上の減量を達成した参加者(838 例 [69.1%] 対 69 例 [12.0%]),15%以上の減量を達成した参加者(612 例 [50.5%] 対 28 例 [4.9%])も多かった(5%以上,10%以上,15%以上の減量達成のオッズの比較すべてについて P<0.001).ベースラインから 68 週までの体重の変化量は,セマグルチド群で -15.3 kg であったのに対し,プラセボ群では -2.6 kg であった(推定治療差 -12.7 kg,95% CI -13.7~-11.7).セマグルチドの投与を受けた参加者では,ベースラインと比較した心血管代謝危険因子の改善が大きく,参加者の報告による身体機能の改善も大きかった.セマグルチドによる有害事象は悪心と下痢の頻度がとくに高く,多くは一過性で軽症~中等症であり,経時的に軽快した.セマグルチド群ではプラセボ群よりも,消化器系の有害事象により投与を中止した参加者が多かった(59 例 [4.5%] 対 5 例 [0.8%]).

結 論

過体重または肥満の参加者において,セマグルチド 2.4 mg の週 1 回投与と生活習慣介入の併用は,持続する,臨床的に意義のある体重減少と関連した.(ノボ ノルディスク社から研究助成を受けた.STEP 1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03548935)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 384 : 989 - 1002. )