October 7, 2021 Vol. 385 No. 15
感染性壊死性膵炎に対する即時介入と待期介入との比較
Immediate versus Postponed Intervention for Infected Necrotizing Pancreatitis
L. Boxhoorn and Others
感染性壊死性膵炎は死にいたる可能性のある疾患である.治療にはステップアップアプローチがとられ,感染壊死巣が被包化されるまでカテーテルドレナージを行わないことが多い.より早期にカテーテルドレナージを行うことで転帰が改善するかどうかは明らかにされていない.
感染性壊死性膵炎の患者を対象とした多施設共同無作為化優越性試験で,感染性壊死と診断されてすぐの無作為化から 24 時間以内に即時ドレナージを行った場合と,被包化壊死の段階に達するまでドレナージを待期した場合とを比較した.主要エンドポイントは包括的合併症指標のスコアとし,6 ヵ月の追跡期間中の合併症をすべて組み込んだ.
104 例が,即時ドレナージ(55 例)と待期ドレナージ(49 例)に無作為に割り付けられた.包括的合併症指標(0~100 で,スコアが高いほど合併症が重度であることを示す)のスコアの平均は,即時ドレナージ群 57,待期ドレナージ群 58 であった(平均差 -1,95%信頼区間 [CI] -12~10,P=0.90).死亡率は,即時ドレナージ群 13%,待期ドレナージ群 10%であった(相対リスク 1.25,95% CI 0.42~3.68).介入(カテーテルドレナージ,壊死組織除去術)の平均回数は,即時ドレナージ群 4.4 回,待期ドレナージ群 2.6 回であった(平均差 1.8,95% CI 0.6~3.0).待期ドレナージ群では 19 例(39%)が抗菌薬で保存的に治療され,ドレナージを必要とすることはなく,そのうち 17 例が生存した.有害事象の発現率は 2 群で同程度であった.
この試験では,感染性壊死性膵炎患者における合併症に関して,即時ドレナージの待期ドレナージに対する優越性は示されなかった.ドレナージ延期戦略に無作為に割り付けられた患者は,侵襲的介入の頻度が低かった.(Fonds NutsOhra,アムステルダム UMC から研究助成を受けた.POINTER 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN33682933)