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August 5, 2021 Vol. 385 No. 6

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2 型糖尿病患者に対する週 1 回皮下投与製剤のチルゼパチドとセマグルチドとの比較
Tirzepatide versus Semaglutide Once Weekly in Patients with Type 2 Diabetes

J.P. Frías and Others

背景

チルゼパチド(tirzepatide)は,2 型糖尿病治療薬として開発中のグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチドおよびグルカゴン様ペプチド 1(GLP-1)のデュアル受容体作動薬である.選択的 GLP-1 受容体作動薬セマグルチドと比較したチルゼパチド週 1 回投与の有効性と安全性は明らかではない.

方 法

40 週間の非盲検第 3 相試験で,患者 1,879 例を,1:1:1:1 の割合でチルゼパチド 5 mg,10 mg,15 mg を投与する群とセマグルチド 1 mg を投与する群に無作為に割り付けた.ベースライン時の糖化ヘモグロビンの平均値は 8.28%,平均年齢は 56.6 歳,平均体重は 93.7 kg であった.主要エンドポイントは,糖化ヘモグロビン値のベースライン時から 40 週の時点までの変化量とした.

結 果

糖化ヘモグロビン値のベースライン時からの変化量の推定平均値は,チルゼパチド 5 mg 群で -2.01 パーセントポイント,10 mg 群で -2.24 パーセントポイント,15 mg 群で -2.30 パーセントポイント,セマグルチド群で -1.86 パーセントポイントであった.セマグルチド群との推定差は,チルゼパチド 5 mg 群で -0.15 パーセントポイント(95%信頼区間 [CI] -0.28~-0.03,P=0.02),10 mg 群で -0.39 パーセントポイント(95% CI -0.51~-0.26,P<0.001),15 mg 群で -0.45 パーセントポイント(95% CI -0.57~-0.32,P<0.001)であった.チルゼパチドの 3 用量すべてがセマグルチドに対して非劣性と優越性を示した.体重減少は,チルゼパチドのほうがセマグルチドよりも大きかった(最小二乗平均の推定治療差は 5 mg 群 -1.9 kg,10 mg 群 -3.6 kg,15 mg 群 -5.5 kg;すべての比較でP<0.001).チルゼパチド群とセマグルチド群でとくに頻度の高かった有害事象は消化器系の事象であり,重症度は主に軽度~中等度であった(それぞれ悪心 17~22%と 18%,下痢 13~16%と 12%,嘔吐 6~10%と 8%).低血糖(血糖値<54 mg/dL)はチルゼパチドの投与を受けた患者の 0.6%(5 mg 群),0.2%(10 mg 群),1.7%(15 mg 群)と,セマグルチドの投与を受けた患者の 0.4%で報告された.重篤な有害事象はチルゼパチドの投与を受けた患者の 5~7%とセマグルチドの投与を受けた患者の 3%に発現した.

結 論

2 型糖尿病患者において,チルゼパチドは,糖化ヘモグロビン値のベースライン時から 40 週の時点までの変化量の平均に関して,セマグルチドに対する非劣性と優越性を示した.(イーライリリー社から研究助成を受けた.SURPASS-2 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03987919)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 503 - 15. )