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August 5, 2021 Vol. 385 No. 6

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心原性ショックの治療におけるミルリノンとドブタミンとの比較
Milrinone as Compared with Dobutamine in the Treatment of Cardiogenic Shock

R. Mathew and Others

背景

心原性ショックは高い合併症発症率と死亡率を伴う.心原性ショックに対する薬物療法の中心は心筋収縮力の増強であるが,臨床診療で強心薬を選択する際の指針となるエビデンスはほとんどない.

方 法

心原性ショックを呈する患者を,二重盲検下でミルリノンを投与する群とドブタミンを投与する群に無作為に割り付けた.主要転帰は,全死因院内死亡,蘇生された心停止,心臓移植または機械的循環補助の実施,非致死的心筋梗塞,神経内科医が診断した一過性脳虚血発作または脳梗塞,腎代替療法の開始の複合とした.副次的転帰は主要複合転帰の各項目などとした.

結 果

192 例(各群 96 例)が組み入れられた.主要転帰に 2 群間で有意差は認められず,主要転帰イベントはミルリノン群の 47 例(49%)とドブタミン群の 52 例(54%)に発生した(相対リスク 0.90,95%信頼区間 [CI] 0.69~1.19,P=0.47).副次的転帰についても,院内死亡(それぞれ 37%と 43%,相対リスク 0.85,95% CI 0.60~1.21),蘇生された心停止(7%と 9%,ハザード比 0.78,95% CI 0.29~2.07),機械的循環補助の実施(12%と 15%,ハザード比 0.78,95% CI 0.36~1.71),腎代替療法の開始(22%と 17%,ハザード比 1.39,95% CI 0.73~2.67)などに群間で有意差は認められなかった.

結 論

心原性ショックを呈する患者において,ミルリノンを投与した場合とドブタミンを投与した場合とで,主要複合転帰および重要な副次的転帰に有意差は認められなかった.(オンタリオ州アカデミックヘルスサイエンスセンターのための代替的資金調達計画イノベーションファンドから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03207165)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 516 - 25. )