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August 12, 2021 Vol. 385 No. 7

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シスジェンダー男性およびトランスジェンダー女性の HIV 感染予防のためのカボテグラビル
Cabotegravir for HIV Prevention in Cisgender Men and Transgender Women

R.J. Landovitz and Others

背景

ヒト免疫不全ウイルス(HIV)感染の曝露前予防(PrEP)のための安全で有効な長期作用型注射剤が,HIV 感染予防の選択肢を増やすために必要とされている.

方 法

無作為化二重盲検ダブルダミー非劣性試験で,HIV 感染リスクの高いシスジェンダーの男性間性交渉者(MSM),および男性と性交渉をもつトランスジェンダー女性を対象に,感染予防を目的として行う,長期作用型注射剤カボテグラビル(cabotegravir [CAB-LA],インテグラーゼ阻害薬 [INSTI])600 mg の 8 週ごとの筋肉内投与を,テノホビル ジソプロキシルフマル酸塩・エムトリシタビン(TDF–FTC)の連日経口投与と比較した.参加者をこの 2 つのレジメンのいずれかに無作為に割り付け(1:1),153 週間追跡した.HIV 検査と安全性の評価を行った.主要エンドポイントは新規の HIV 感染とした.

結 果

intention-to-treat 集団は無作為化された 4,566 例であり,570 例(12.5%)がトランスジェンダー女性であると自認し,年齢の中央値は 26 歳(四分位範囲 22~32)であった.事前に計画されていたエンドポイントに関する最初の中間解析の結果の検討で有効性が示されたため,試験は早期に中止された.米国の参加者 1,698 例中 845 例(49.8%)が黒人であると自認していた.新規の HIV 感染は 52例に発生し,内訳はカボテグラビル群 13 例(発生率 100 人年あたり 0.41 例),TDF–FTC 群 39 例(発生率 100 人年あたり 1.22 例)であった(ハザード比 0.34,95%信頼区間 0.18~0.62).効果は事前に規定したサブグループ全体で一貫していた.注射部位反応は,カボテグラビル群の 81.4%と TDF–FTC 群の 31.3%で報告された.CAB-LA への曝露後に HIV 感染が診断された参加者には,INSTI 耐性が認められた例や,HIV 感染検出が遅かった例がいた.安全性の懸念は認められなかった.

結 論

MSM およびトランスジェンダー女性の HIV 感染予防において,CAB-LA は TDF–FTC の連日経口投与よりも優れていた.CAB-LA による PrEP が失敗した場合に INSTI 耐性を防ぐ戦略が必要である.(米国国立アレルギー・感染症研究所ほかから研究助成を受けた.HPTN 083 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02720094)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 595 - 608. )