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September 2, 2021 Vol. 385 No. 10

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免疫性血小板減少症に対する一次治療としてのミコフェノール酸モフェチル
Mycophenolate Mofetil for First-Line Treatment of Immune Thrombocytopenia

C.A. Bradbury and Others

背景

免疫性血小板減少症は,出血のリスクと倦怠感を伴うまれな自己免疫疾患である.免疫性血小板減少症に対して推奨される一次治療は高用量グルココルチコイドであるが,副作用,反応のばらつき,高い再発率が重大な欠点である.

方 法

英国で行われた多施設共同非盲検無作為化比較試験で,免疫性血小板減少症の成人患者を,一次治療としてグルココルチコイドの単剤投与(標準治療)を行う群と,グルココルチコイドとミコフェノール酸モフェチルの併用投与を行う群に 1:1 の割合で割り付けた.主要有効性転帰は治療失敗とし,血小板数 30×109/L 未満および二次治療の開始と定義し,生存時間(time-to-event)解析で評価した.副次的転帰は奏効割合,副作用,出血の発生,患者報告による QOL 指標,重篤な有害事象とした.

結 果

免疫性血小板減少症患者 120 例(男性 52.4%,平均年齢 54 歳 [範囲 17~87],平均血小板数 7×109/L)が無作為化され,試験治療開始から最長 2 年間追跡された.ミコフェノール酸モフェチル群では,グルココルチコイド単剤群よりも治療失敗が少なく(22% [59 例中 13 例] 対 44% [61 例中 27 例],ハザード比 0.41,範囲 0.21~0.80,P=0.008),反応が大きかった(血小板数 100×109/L 超の患者の割合 91.5% 対 63.9%,P<0.001).出血,レスキュー治療,感染などの治療副作用の発生率に群間差を示す所見は認められなかった.しかし,ミコフェノール酸モフェチル群では,患者報告アウトカムの身体機能と倦怠感に関する QOL がグルココルチコイド単剤群よりも低かった.

結 論

免疫性血小板減少症の一次治療としてグルココルチコイドにミコフェノール酸モフェチルを追加したところ,より大きな反応が得られ,本症の難治化または再発のリスクが低下したが,QOL は若干低下した.(英国国立医療研究機構から研究助成を受けた.FLIGHT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03156452,EudraCT 登録番号 2017-001171-23)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2021; 385 : 885 - 95. )