The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

January 6, 2022 Vol. 386 No. 1

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

重症再生不良性貧血に対する免疫抑制療法へのエルトロンボパグの追加
Eltrombopag Added to Immunosuppression in Severe Aplastic Anemia

R. Peffault de Latour and Others

背景

エルトロンボパグは,重症再生不良性貧血患者に対する,ウマ抗胸腺細胞グロブリン(ATG)+シクロスポリンを含む標準的免疫抑制療法の有効性を高めることが単群第 1・2 相試験で示された.

方 法

前向き研究者主導非盲検多施設共同無作為化第 3 相試験で,治療歴のない重症再生不良性貧血患者を対象に,第一選択治療としてウマ ATG+シクロスポリンにエルトロンボパグを併用した場合と併用しない場合とで,有効性と安全性を比較した.主要エンドポイントは 3 ヵ月の時点での血液学的完全奏効とした.

結 果

患者を,免疫抑制療法のみを受ける群(A 群,101 例)と,免疫抑制療法+エルトロンボパグの投与を受ける群(B 群,96 例)に割り付けた.3 ヵ月の時点で完全奏効が得られた患者の割合は A 群 10%,B 群 22%であった(オッズ比 3.2,95%信頼区間 [CI] 1.3~7.8,P=0.01).6 ヵ月の時点での全奏効率(完全奏効または部分奏効が得られた患者の割合)は A 群 41%,B 群 68%であった.初回奏効が得られるまでの期間の中央値は A 群 8.8 ヵ月,B 群 3.0 ヵ月であった.重度の有害事象の発現率は両群で同程度であった.追跡期間中央値 24 ヵ月で,骨髄異形成症候群に分類される核型異常が A 群の 1 例と B 群の 2 例に認められ,無イベント生存率はそれぞれ 34%と 46%であった.ベースライン時に体細胞変異は A 群の 29%と B 群の 31%に検出されており,6 ヵ月の時点でそれぞれ 66%と 55%に増加したが,血液学的反応と 2 年後の転帰には影響を及ぼさなかった.

結 論

標準的免疫抑制療法にエルトロンボパグを追加することにより,治療歴のない重症再生不良性貧血患者で血液学的反応が得られる割合,速度,大きさが改善し,毒性が追加されることはなかった.(ノバルティス社ほかかから研究助成を受けた.RACE 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02099747,EudraCT 登録番号 2014-000363-40)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 11 - 23. )