March 24, 2022 Vol. 386 No. 12
クリプトコッカス髄膜炎に対するアムホテリシン B リポソーム製剤単回投与
Single-Dose Liposomal Amphotericin B Treatment for Cryptococcal Meningitis
J.N. Jarvis and Others
サハラ以南のアフリカでは,クリプトコッカス髄膜炎はヒト免疫不全ウイルス(HIV)関連死の主因である.アムホテリシン B リポソーム製剤の高用量単回投与を含む治療レジメンが有効かどうかは明らかではない.
アフリカの 5 ヵ国で行われた第 3 相無作為化比較非劣性試験で,クリプトコッカス髄膜炎を有する HIV 陽性の成人を,1 日目に高用量のアムホテリシン B リポソーム製剤(10 mg/kg 体重)を単回投与し,フルシトシン(100 mg/kg/日)とフルコナゾール(1,200 mg/日)を 14 日間投与する群と,世界保健機関(WHO)が推奨する治療,すなわちアムホテリシン B デオキシコール酸(1 mg/kg/日)とフルシトシン(100 mg/kg/日)を 7 日間投与し,その後フルコナゾール(1,200 mg/日)を 7 日間投与する群(対照群)に,1:1 の割合で割り付けた.主要エンドポイントは 10 週の時点での全死因死亡とした.10 パーセントポイントのマージンで非劣性を示すよう設定した.
844 例が無作為化され,814 例が intention-to-treat 集団に組み入れられた.10 週の時点で,アムホテリシン B リポソーム製剤群では 101 例(24.8%,95%信頼区間 [CI] 20.7~29.3),対照群では 117 例(28.7%,95% CI 24.4~33.4)が死亡していた(差 -3.9 パーセントポイント).片側 95%信頼区間の上限は 1.2 パーセントポイント(非劣性マージン内,非劣性の P<0.001)であった.髄液中の菌クリアランス速度は,アムホテリシン B リポソーム製剤群では -0.40 log10 コロニー形成単位(CFU)/mL/日,対照群では -0.42 log10 CFU/mL/日であった.グレード 3 または 4 の有害事象が発現した参加者は,アムホテリシン B リポソーム製剤群のほうが対照群よりも少なかった(50.0% 対 62.3%).
HIV 関連クリプトコッカス髄膜炎に対して,アムホテリシン B リポソーム製剤の単回投与をフルシトシンおよびフルコナゾールと併用するレジメンは,WHO が推奨する治療に対して非劣性であり,関連する有害事象は少なかった.(欧州・発展途上国臨床試験パートナーシップほかから研究助成を受けた.Ambition 試験:ISRCTN 登録番号 ISRCTN72509687)