March 24, 2022 Vol. 386 No. 12
ヒドロコルチゾンによる気管支肺異形成症を伴わない生存の改善
Hydrocortisone to Improve Survival without Bronchopulmonary Dysplasia
K.L. Watterberg and Others
気管支肺異形成症は,超早産児で頻度の高い合併症である.人工呼吸管理に伴う炎症がその発症に寄与している可能性がある.生後 2 週を過ぎてからのヒドロコルチゾン療法によって,気管支肺異形成症や神経発達への有害作用を伴わずに生存を改善できるかどうかはわかっていない.
在胎 30 週未満で,生後 14~28 日に 7 日間以上挿管された乳児を対象とする試験を行った.児を,ヒドロコルチゾン(4 mg/kg 体重/日,10 日間で漸減)を投与する群とプラセボを投与する群に無作為に割り付けた.抜管する閾値を規定した.主要有効性転帰は,最終月経後週齢 36 週の時点での中等度または重度の気管支肺異形成症を伴わない生存とし,主要安全性転帰は,修正月齢 22~26 ヵ月の時点での中等度または重度の神経発達障害を伴わない生存とした.
800 例(平均 [±SD] 出生体重 715±167 g,平均在胎週数 24.9±1.5 週)を登録した.36 週の時点で中等度または重度の気管支肺異形成症を伴わずに生存していた児の数は,ヒドロコルチゾン群では 398 例中 66 例(16.6%),プラセボ群では 402 例中 53 例(13.2%)であった(補正率比 1.27,95%信頼区間 [CI] 0.93~1.74).2 年後の転帰を知りえたのは全体の 91.0%であった.中等度または重度の神経発達障害を伴わずに生存していた児の数は,ヒドロコルチゾン群では 358 例中 132 例(36.9%),プラセボ群では 359 例中 134 例(37.3%)であった(補正率比 0.98,95% CI 0.81~1.18).降圧薬投与が行われた高血圧の発生頻度は,ヒドロコルチゾン群のほうがプラセボ群よりも高かった(4.3% 対 1.0%).その他の有害事象は 2 群で同程度であった.
早産児を対象とした今回の試験では,生後 14~28 日にヒドロコルチゾン療法を開始しても,中等度または重度の気管支肺異形成症を伴わない生存割合は,プラセボと比較して大幅に高くはならなかった.中等度または重度の神経発達障害を伴わない生存割合に群間で大きな差はなかった.(米国国立衛生研究所から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT01353313)