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March 24, 2022 Vol. 386 No. 12

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転移性ホルモン感受性前立腺癌におけるダロルタミドと生存
Darolutamide and Survival in Metastatic, Hormone-Sensitive Prostate Cancer

M.R. Smith and Others

背景

ダロルタミドは,非転移性の去勢抵抗性前立腺癌患者の全生存期間の延長と関連することが示されている,強力なアンドロゲン受容体阻害薬である.ダロルタミド,アンドロゲン除去療法,ドセタキセルの併用により,転移性のホルモン感受性前立腺癌患者の生存期間が延長するかどうかは明らかにされていない.

方 法

国際共同第 3 相試験で,転移性ホルモン感受性前立腺癌患者を,ダロルタミド(600 mg [300 mg 錠 2 錠] 1 日 2 回)を投与する群と,マッチさせたプラセボを投与する群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.いずれもアンドロゲン除去療法,ドセタキセルと併用した.主要エンドポイントは全生存とした.

結 果

主要解析の対象は 1,306 例(ダロルタミド群 651 例,プラセボ群 655 例)であり,このうち 86.1%が初回診断時に転移性癌を有していた.主要解析のデータカットオフ日(2021 年 10 月 25 日)の時点で,死亡リスクはダロルタミド群のほうがプラセボ群よりも有意に,32.5%低かった(ハザード比 0.68,95%信頼区間 0.57~0.80,P<0.001).副次的エンドポイントに関しても,事前に規定したサブグループにおいても,ダロルタミドには一貫した利益が認められた.有害事象の発現頻度は 2 群で同程度であり,とくに頻度の高かった有害事象(患者の 10%以上に発現)の発現率は,両群ともドセタキセルの投与が重なっている期間にもっとも高かった.グレード 3 または 4 の有害事象が発現した患者割合は,ダロルタミド群で 66.1%,プラセボ群で 63.5%であり,グレード 3 または 4 の有害事象でもっとも頻度が高かったのは好中球減少であった(それぞれ 33.7%と 34.2%).

結 論

転移性ホルモン感受性前立腺癌患者を対象とした今回の試験で,ダロルタミド,アンドロゲン除去療法,ドセタキセルを併用した患者では,プラセボ,アンドロゲン除去療法,ドセタキセルを併用した患者よりも全生存期間が有意に長かった.また,ダロルタミドの追加により,主要な副次的エンドポイントが改善した.有害事象の発現頻度は 2 群で同程度であった.(バイエル社,オリオンファーマ社から研究助成を受けた.ARASENS 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02799602)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1132 - 42. )