April 28, 2022 Vol. 386 No. 17
妊娠中の融合前 F 蛋白ベースの RS ウイルスワクチンによる予防接種
Prefusion F Protein–Based Respiratory Syncytial Virus Immunization in Pregnancy
E.A.F. Simões and Others
RS ウイルス(RSV)は,世界中で乳児の疾患および死亡の主な原因であり,妊娠中のワクチン接種によって予防できる可能性がある.妊娠女性とその児における 2 価の RSV 融合前 F 蛋白ベース(RSVpreF)のワクチンの有効性,免疫原性,安全性は明らかにされていない.
第 2b 相試験で,妊娠 24~36 週の女性を,RSVpreF ワクチン 120 μg または 240 μg(水酸化アルミニウム含有または非含有)を接種する群と,プラセボを接種する群に無作為に割り付けた.安全性エンドポイントと免疫原性エンドポイントを設定し,この中間解析では,分娩時の母体の血清中,および臍帯血中の RSV A,RSV B,および RSV A・B を 50%中和する抗体価,母体と児の経胎盤移行比などを評価した.
計画されていた中間解析の対象は,女性 406 例,児 403 例であり,女性 327 例(80.5%)が RSVpreF ワクチンの接種を受けた.ワクチン接種後の反応は大部分が軽度~中等度であり,局所反応の発現率は,水酸化アルミニウム含有 RSVpreF ワクチンの接種を受けた女性のほうが,水酸化アルミニウム非含有 RSVpreF ワクチンの接種を受けた女性よりも高かった.女性と児における有害事象の発現率は,ワクチン群とプラセボ群で同程度であり,その事象の種類と頻度は,妊娠女性と児における背景発現率と一致していた.ワクチン接種を受けた女性の児とプラセボ接種を受けた女性の児の 50%中和抗体価の幾何平均比は,RSV A 中和抗体に関しては 9.7~11.7,RSV B 中和抗体に関しては 13.6~16.8 であった.中和抗体の経胎盤移行比は 1.41~2.10 であり,アルミニウム非含有製剤のほうがアルミニウム含有製剤よりも高かった.検討した在胎期間の範囲では,ワクチン接種を受けた女性の児における臍帯血中抗体価は同程度であり,経胎盤移行比も同程度であった.
RSVpreF ワクチンは,中和抗体反応を引き起こし,経胎盤移行比が高く,明らかな安全性の懸念は認められなかった.(ファイザー社から研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04032093)