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April 28, 2022 Vol. 386 No. 17

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新生児気管挿管における経鼻高流量酸素療法
Nasal High-Flow Therapy during Neonatal Endotracheal Intubation

K.A. Hodgson and Others

背景

新生児気管挿管は複数回試行されることが多く,酸素飽和度が低下する頻度が高い.経鼻高流量酸素療法は,全身麻酔下の小児および成人においては,待期的挿管中の酸素飽和度低下までの時間を延長させるが,新生児における挿管の初回試行での成功率を改善できるかどうかは明らかにされていない.

方 法

オーストラリアの 2 つの三次医療機関の新生児集中治療室で,経口気管挿管を行う新生児を対象として,経鼻高流量酸素療法と標準療法(経鼻高流量酸素療法も酸素投与も行わない)とを比較する無作為化比較試験を行った.試験実施施設,挿管のための前投薬の有無,新生児の最終月経後週齢(28 週以下,28 週超)で層別化し,挿管を高流量群と標準療法群に無作為に割り付けた.主要転帰は,新生児の生理学的不安定性(末梢血酸素飽和度の挿管前ベースライン値から絶対値で 20%を超える低下,または心拍数 100 回/分未満の徐脈と定義)を伴わない,挿管の初回試行での成功とした.

結 果

intention-to-treat での主要解析の対象は,202 例の挿管 251 件の転帰であり,124 件が高流量群,127 件が標準療法群に割り付けられた.挿管時の児の最終月経後週齢の中央値は 27.9 週,体重の中央値は 920 g であった.生理学的不安定性を伴わない,挿管の初回試行での成功は,高流量群では 124 件中 62 件(50.0%),標準療法群では 127 件中 40 件(31.5%)で達成され(補正リスク差 17.6 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] 6.0~29.2),1 例が利益を得るための治療必要数は 6(95% CI 4~17)であった.生理学的安定性を問わない,挿管の初回試行での成功は,高流量群の挿管の 68.5%と,標準療法群の挿管の 54.3%で達成された(補正リスク差 15.8 パーセントポイント,95% CI 4.3~27.3).

結 論

オーストラリアの 2 つの三次医療機関の新生児集中治療室で気管挿管を受ける新生児において,手技中に経鼻高流量酸素療法を行うことにより,新生児の生理学的不安定性を伴わない,挿管の初回試行での成功率が改善した.(オーストラリア国立保健医療研究評議会から研究助成を受けた.Australian New Zealand Clinical Trials Registry 番号 ACTRN12618001498280)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 1627 - 37. )