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June 23, 2022 Vol. 386 No. 25

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ミスマッチ修復機構欠損を有する局所進行直腸癌における PD-1 阻害
PD-1 Blockade in Mismatch Repair–Deficient, Locally Advanced Rectal Cancer

A. Cercek and Others

背景

局所進行直腸癌の標準治療では,術前補助化学療法と放射線療法の施行後に,直腸の外科的切除を行う.一部の直腸癌は,ミスマッチ修復機構の欠損により引き起こされる.ミスマッチ修復機構欠損を有する転移性大腸癌はプログラム細胞死 1(PD-1)の阻害に反応を示すことから,その欠損を有する局所進行直腸癌患者には,チェックポイント阻害が有効であるかもしれないという仮説を立てた.

方 法

ミスマッチ修復機構欠損を有するステージ II または III の直腸腺癌患者に対して,抗 PD-1 モノクローナル抗体ドスタルリマブ(dostarlimab)を 3 週ごとに 6 ヵ月間,単独で投与する前向き第 2 相試験を開始した.ドスタルリマブ療法後に,標準化学放射線療法と手術を行うこととした.ドスタルリマブ療法完了後に臨床的完全奏効が得られた患者には,化学放射線療法と手術を行わなかった.主要エンドポイントは,ドスタルリマブ療法完了後 12 ヵ月の時点での臨床的完全奏効の持続,またはドスタルリマブ療法完了後の化学放射線療法の施行を問わない病理学的完全奏効と,ドスタルリマブ術前補助療法による化学放射線療法の施行を問わない全奏効とした.

結 果

12 例がドスタルリマブの投与を完了し,6 ヵ月以上追跡された.12 例全例(100%,95%信頼区間 74~100)で臨床的完全奏効が得られ,MRI,18F-フルオロデオキシグルコース陽電子放射断層撮影,内視鏡検査,直腸指診,生検のいずれでも残存腫瘍は認められなかった.この報告の時点で,化学放射線療法または手術を受けた患者はおらず,追跡期間中(範囲 6~25 ヵ月)に進行または再発は報告されなかった.グレード 3 以上の有害事象も報告されていない.

結 論

ミスマッチ修復機構欠損を有する局所進行直腸癌は,PD-1 阻害薬の単独投与に対する感受性が高かった.奏効期間を評価するためには,より長期の追跡が必要とされる.(サイモン&イブ・コリン財団ほかから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04165772)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 2363 - 76. )