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June 23, 2022 Vol. 386 No. 25

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RS ウイルスチャレンジ試験における成人でのワクチンの有効性
Vaccine Efficacy in Adults in a Respiratory Syncytial Virus Challenge Study

B. Schmoele-Thoma and Others

背景

ヒト RS ウイルス(RSV)は,高齢者における疾患と死亡の重要な原因であるが,認可された RSV ワクチンはまだない.

方 法

第 2a 相試験で,健康な成人(18~50 歳)を,2 価の RSV 融合前 F 蛋白ベース(RSVpreF)のワクチンの単回筋肉内注射を行う群と,プラセボ注射を行う群に 1:1 の割合で無作為に割り付けた.注射後約 28 日の時点で,RSV-A Memphis 37b チャレンジウイルスを鼻腔内投与し,12 日間観察した.試験実施計画書で事前に規定した主要エンドポイントは,RSV 感染が逆転写酵素定量的 PCR (RT-qPCR)検査で確認され,ウイルス RNA が 2 日以上連続して検出可能であり,3 つのカテゴリー(上気道,下気道,全身)のうち 2 つ以上にグレードを問わない臨床症状を有する,またはいずれかのカテゴリーのグレード 2 の症状を有すること,チャレンジ後 1 日目から退院までの総症状スコア,RT-qPCR 検査で測定した鼻洗浄液検体中 RSV ウイルス量の,チャレンジ後 2 日目から退院までの曲線下面積(AUC)とした.さらに,免疫原性と安全性を評価した.

結 果

チャレンジウイルスの投与後,ウイルス RNA が 2 日以上連続して検出可能であることにより確認される有症状の RSV 感染の予防において,ワクチンの有効率は 86.7%(95%信頼区間 [CI] 53.8~96.5)であった.RT-qPCR 検査で測定した RSV ウイルス量の AUC(時間×log10 コピー/mL)の中央値は,ワクチン群で 0.0(四分位範囲 0.0~19.0),プラセボ群で 96.7(四分位範囲 0.0~675.3)であった.注射後 28 日の時点での,RSV-A 中和抗体価のベースラインからの幾何平均上昇倍率は,ワクチン群で 20.5(95% CI 16.6~25.3),プラセボ群で 1.1(95% CI 0.9~1.3)であった.局所反応は,ワクチン群のほうがプラセボ群よりも多く,とくに注射部位疼痛の頻度が高かった.いずれの群でも重篤な有害事象は認められなかった.

結 論

RSVpreF ワクチンは,有症状の RSV 感染とウイルス排出の予防に有効であった.明らかな安全性の懸念は認められなかった.これらの結果は,RSVpreF ワクチンを第 3 相有効性試験でさらに評価することを支持している.(ファイザー社から研究助成を受けた.EudraCT 登録番号 2020-003887-21,ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04785612)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 2377 - 86. )