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January 27, 2022 Vol. 386 No. 4

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変性性僧帽弁閉鎖不全症患者における三尖弁修復の同時施行
Concomitant Tricuspid Repair in Patients with Degenerative Mitral Regurgitation

J.S. Gammie and Others

背景

重度の変性性僧帽弁閉鎖不全症患者では三尖弁逆流がよくみられる.しかし,中等度の三尖弁逆流または軽度以下の逆流で弁輪拡大を伴っている患者において,僧帽弁手術時に三尖弁修復を行うかどうかを決定する際の根拠となるエビデンスは不十分である.

方 法

変性性僧帽弁閉鎖不全症に対して僧帽弁手術を施行する患者 401 例を,三尖弁輪縫縮術(TA)を同時に行う群と行わない群に無作為に割り付けた.2 年の時点での主要エンドポイントは,三尖弁逆流に対する再手術,三尖弁逆流のベースラインから 2 グレードの進行または重度の三尖弁逆流,死亡の複合とした.

結 果

僧帽弁手術+TA を受けた患者は,僧帽弁手術のみを受けた患者よりも,主要エンドポイントのイベント発生が少なかった(3.9% 対 10.2%;相対リスク 0.37,95%信頼区間 [CI] 0.16~0.86;P=0.02).2 年死亡率は,手術+TA 群では 3.2%,手術単独群では 4.5%であった(相対リスク 0.69,95% CI 0.25~1.88).2 年の時点で三尖弁逆流の進行が認められた患者の割合は,手術+TA 群のほうが手術単独群よりも低かった(0.6% 対 6.1%;相対リスク 0.09,95% CI 0.01~0.69).2 年の時点で,主要有害心・脳血管イベントの頻度,機能状態,QOL は 2 群で同程度であったが,恒久的ペースメーカー植込みの発生率は手術+TA 群のほうが手術単独群よりも高かった(14.1% 対 2.5%;率比 5.75,95% CI 2.27~14.60).

結 論

僧帽弁手術を施行する患者のうち,TA も受けた患者は,僧帽弁手術のみを受けた患者よりも,2 年の時点での主要エンドポイントのイベント発生率が低かった.この発生率の低下は,重度の三尖弁逆流が進行する頻度がより低かったことに起因していた.三尖弁の修復により,恒久的ペースメーカー植込みが行われる頻度が上昇した.三尖弁逆流の進行の減少が長期の臨床的利益をもたらすかどうかは,より長期の追跡でのみ明らかになる.(米国国立心臓・肺・血液研究所,ドイツ心臓血管研究センターから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02675244)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 327 - 39. )