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January 27, 2022 Vol. 386 No. 4

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Covid-19 ワクチンによる軽症 Covid-19 および 重症 Covid-19 に対する防御期間
Duration of Protection against Mild and Severe Disease by Covid-19 Vaccines

N. Andrews and Others

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)を引き起こす重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対するワクチンは,英国では 2020 年 12 月から使用されている.リアルワールドデータから,ワクチンは Covid-19 と,関連する重症化および死亡に対して非常に有効であることが示されている.ChAdOx1-S(ChAdOx1 nCoV-19)ワクチンと BNT162b2 ワクチンの有効性は,2 回目の接種後,経時的に減弱する可能性がある.

方 法

検査陰性者を対照とする test-negative デザインを用いて,イングランドにおける症状を伴う Covid-19 と,関連する入院および死亡に対するワクチンの有効性を推定した.ChAdOx1-S ワクチンと BNT162b2 ワクチンの有効性を,参加者の年齢および併存疾患の有無別,および 2 回目の接種後の経過期間別に評価し,B.1.1.7 変異株(アルファ株)と B.1.617.2 変異株(デルタ株)のそれぞれに対する有効性の減弱を検討した.

結 果

デルタ株による症状を伴う Covid-19 に対するワクチンの有効性は 2 回目の接種後数週間でピークに達し,その後 20 週目までに,ChAdOx1-S ワクチンでは 44.3%(95%信頼区間 [CI] 43.2~45.4),BNT162b2 ワクチンでは 66.3%(95% CI 65.7~66.9)まで低下した.有効性の減弱は,65 歳以上が,40~64 歳よりも大きかった.接種後 20 週以降の,入院および死亡に対するワクチンの有効性の低下はより小さく,入院に対する有効性は ChAdOx1-S ワクチンでは 80.0%(95% CI 76.8~82.7),BNT162b2 ワクチンでは 91.7%(95% CI 90.2~93.0)に低下し,死亡に対する有効性はそれぞれ 84.8%(95% CI 76.2~90.3),91.9%(95% CI 88.5~94.3)に低下した.入院に対するワクチンの有効性は,65 歳以上の臨床的にきわめて脆弱な集団と,40~64 歳の基礎疾患を有する集団で,健康な成人よりも大きく減弱した.

結 論

ChAdOx1-S ワクチンまたは BNT162b2 ワクチンの 2 回接種後 20 週以降の,Covid-19 に関連する入院および死亡に対するワクチンの有効性の減弱は限定的であった.高齢者と臨床的リスクを有する集団では減弱がより大きかった.

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 340 - 50. )