The NEW ENGLAND JOURNAL of MEDICINE

日本国内版

年間購読お申込み

日本語アブストラクト

February 10, 2022 Vol. 386 No. 6

Share

Share on Facebook
Facebookで共有する
Share on Twitter
Twitterでつぶやく
Share on Note
noteに投稿する

RSS

RSS

Covid-19 非入院患者の経口治療薬としてのモルヌピラビル
Molnupiravir for Oral Treatment of Covid-19 in Nonhospitalized Patients

A. Jayk Bernal and Others

背景

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)の進行リスクを減らすために,新たな治療法が必要である.モルヌピラビルは,重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2(SARS-CoV-2)に対して活性を示す,経口投与可能な低分子抗ウイルスプロドラッグである.

方 法

入院していない軽症~中等症 Covid-19 の成人患者のうち,SARS-CoV-2 感染が検査で確認され,重症 Covid-19 の危険因子を 1 つ以上有し,ワクチン未接種である患者において,徴候または症状の発現後 5 日以内に投与を開始するモルヌピラビルの有効性と安全性を評価する第 3 相二重盲検無作為化プラセボ対照試験を行った.患者を,モルヌピラビル 800 mg を 1 日 2 回 5 日間投与する群と,プラセボを投与する群に無作為に割り付けた.主要有効性エンドポイントは 29 日の時点での入院または死亡の発生率とし,有害事象の発現率を主要安全性エンドポイントとした.1,550 例(目標登録数)の 50%が 29 日目まで追跡された時点で,事前に規定した中間解析を行った.

結 果

1,433 例が無作為化され,716 例がモルヌピラビル群,717 例がプラセボ群に割り付けられた.患者背景は,性別の偏りを除いて 2 群で同様であった.中間解析ではモルヌピラビルの優越性が示され,29 日目までのあらゆる原因による入院,または死亡のリスクは,モルヌピラビル群(385 例中 28 例 [7.3%])のほうがプラセボ群(377 例中 53 例 [14.1%])よりも低かった(差 -6.8 パーセントポイント,95%信頼区間 [CI] -11.3~-2.4,P=0.001).無作為化されたすべての患者の解析では,29 日目までに入院または死亡した割合は,モルヌピラビル群のほうがプラセボ群よりも低かった(6.8% [709 例中 48 例] 対 9.7% [699 例中 68 例],差 -3.0 パーセントポイント,95% CI -5.9~-0.1).サブグループ解析の結果は,これら全体の結果と大部分が一致していたが,SARS-CoV-2 感染の既往を示す所見を有する患者,ベースライン時のウイルス量が低い患者,糖尿病患者などの一部のサブグループでは,差の点推定値はプラセボ群のほうが良好であった.29 日目までに,死亡はモルヌピラビル群で 1 例,プラセボ群で 9 例報告された.有害事象はモルヌピラビル群 710 例中 216 例(30.4%),プラセボ群 701 例中 231 例(33.0%)で報告された.

結 論

リスクを有する,ワクチン未接種の Covid-19 成人患者において,モルヌピラビルによる早期治療は入院または死亡のリスクを低下させた.(メルク シャープ&ドーム社から研究助成を受けた.MOVe-OUT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04575597)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 386 : 509 - 20. )