October 6, 2022 Vol. 387 No. 14
皮膚筋炎に対する免疫グロブリン静注療法の試験
Trial of Intravenous Immune Globulin in Dermatomyositis
R. Aggarwal and Others
皮膚筋炎の治療を目的とした免疫グロブリン静注療法(IVIG)の広範な評価は行われていない.
活動性の皮膚筋炎患者を対象として,無作為化プラセボ対照試験を行った.患者を,IVIG を 2.0 g/kg 体重の用量で 4 週ごとに 16 週間行う群と,プラセボを投与する群に 1:1 の割合で割り付けた.プラセボの投与を受けた患者と,IVIG 治療中に臨床的悪化が確認されなかった患者は,さらに 24 週間の非盲検延長期への移行を可能とした.主要エンドポイントは奏効とし,16 週の時点での総合改善スコア(TIS)が 20 以上(「最小限以上の改善」)であり,16 週の時点まで悪化が確認されないことと定義した.TIS は,筋炎の活動性に関する 6 つの指標から成るコアセットの経時的変化を反映するように重み付けをした複合スコアであり,範囲は 0~100 で,数値が高いほど改善が大きいことを示す.主な副次的エンドポイントは,中等度以上の改善(TIS 40 以上),大きな改善(TIS 60 以上),皮膚筋炎の皮膚病変範囲・重症度指標(CDASI)のスコアの変化などとした.
95 例が無作為化され,47 例が IVIG 群,48 例がプラセボ群に割り付けられた.16 週の時点で TIS が 20 以上であった患者の割合は,IVIG 群では 79%(47 例中 37 例),プラセボ群では 44%(48 例中 21 例)であった(差 35 パーセントポイント,95%信頼区間 17~53,P<0.001).中等度以上の改善や,大きな改善などの副次的エンドポイントの結果は,主要エンドポイント解析の結果とおおむね同様の方向性を示したが,クレアチンキナーゼ値の変化(TIS のコア指標の 1 つ)のみ,群間で有意差は認められなかった.40 週の期間中,治療関連有害事象は IVIG 群で 282 件発現し,とくに頻度が高かったのは頭痛(患者の 42%),発熱(19%),悪心(16%)であった.IVIG に関連すると判断された重篤な有害事象は 9 件発現し,うち 6 件は血栓塞栓イベントであった.
皮膚筋炎の成人を対象とした 16 週間の試験で,疾患活動性の複合スコアでの「最小限以上の改善」と定義した奏効が得られた患者の割合は,IVIG を受けた患者のほうが,プラセボの投与を受けた患者よりも有意に高かった.IVIG は,血栓塞栓症などの有害事象と関連した.(オクタファルマ ファルマツォイティカ社から研究助成を受けた.ProDERM 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02728752)