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November 10, 2022 Vol. 387 No. 19

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人工呼吸管理を受けている成人重症患者における酸素飽和度の目標値
Oxygen-Saturation Targets for Critically Ill Adults Receiving Mechanical Ventilation

M.W. Semler and Others

背景

成人重症患者の侵襲的人工呼吸管理では,動脈血酸素飽和度を維持するために吸入酸素濃度を調節する.この患者集団で最適な臨床転帰を得るための酸素飽和度の目標値は,依然として明らかにされていない.

方 法

1 ヵ所の学術機関の救急部と内科集中治療室で行った実用的クラスター無作為化クラスタークロスオーバー試験で,人工呼吸管理を受けている成人を,パルスオキシメータで測定した酸素飽和度(SpO2)の目標値を低めに設定する群(90%,目標範囲 88~92%),中間に設定する群(94%,目標範囲 92~96%),高めに設定する群(98%,目標範囲 96~100%)に割り付けた.主要転帰は,28 日目までの人工呼吸器なしでの生存日数(人工呼吸器非装着日数)とした.副次的転帰は 28 日目までの死亡とし,データは退院の時点で打ち切りとした.

結 果

主要解析の対象は 2,541 例であった.人工呼吸器非装着日数の中央値は,低目標値群で 20 日(四分位範囲 0~25),中間目標値群で 21 日(四分位範囲 0~25),高目標値群で 21 日(四分位範囲 0~26)であった(P=0.81).28 日目までの院内死亡は,低目標値群の 808 例中 281 例(34.8%),中間目標値群の 859 例中 292 例(34.0%),高目標値群の 874 例中 290 例(33.2%)に発生した.心停止,不整脈,心筋梗塞,脳卒中,気胸の発生率は,3 群で同程度であった.

結 論

侵襲的人工呼吸管理を受けている成人重症患者では,SpO2 の目標値を低め,中間,高めのいずれに設定しても,人工呼吸器非装着日数に群間差はなかった.(米国国立心臓・肺・血液研究所ほかから支援を受けた.PILOT 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT03537937)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1759 - 69. )