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November 24, 2022 Vol. 387 No. 21

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ショック抵抗性心室細動に対する除細動戦略
Defibrillation Strategies for Refractory Ventricular Fibrillation

S. Cheskes and Others

背景

除細動技術の進歩にもかかわらず,院外心停止におけるショック抵抗性心室細動の頻度は依然として高い.ショック抵抗性心室細動患者の転帰を改善する除細動戦略として,二重連続体外式除細動(DSED;2 台の除細動器を用いた,迅速かつ連続的なショック)と,ベクトル変更(VC)除細動(除細動パッドを,右前胸部・左側胸部から左前胸部・左後背部に貼り替える)が提案されている.

方 法

院外心停止をきたしたショック抵抗性心室細動の成人患者を対象として,カナダの 6 つの救急救命サービスでクラスター無作為化クラスタークロスオーバー試験を行い,DSED と VC 除細動を,標準的な除細動と比較評価した.患者は,救急救命サービスに無作為に割り付けられた 3 つの除細動法のいずれかによる治療を受けた.主要転帰は生存退院とした.副次的転帰は,心室細動の停止,自己心拍再開,良好な神経学的転帰とし,良好な神経学的転帰は,退院時の修正ランキンスケールスコア 2 以下(症状なし~軽度の障害を示す)と定義した.

結 果

新型コロナウイルス感染症(Covid-19)パンデミックのため,データ安全性モニタリング委員会が試験の中止を推奨するまでに,405 例が組み入れられた.136 例(33.6%)が標準的な除細動を受ける群,144 例(35.6%)が VC 除細動を受ける群,125 例(30.9%)が DSED を受ける群に割り付けられた.生存退院率は,DSED 群のほうが標準的除細動群よりも高く(30.4% 対 13.3%,相対リスク 2.21,95%信頼区間 [CI] 1.33~3.67),VC 除細動群も標準的除細動群よりも高かった(21.7% 対 13.3%,相対リスク 1.71,95% CI 1.01~2.88).DSED は,良好な神経学的転帰が得られた患者の割合が標準的な除細動よりも高いことに関連したが,VC 除細動は関連しなかった(相対リスクはそれぞれ 2.21 [95% CI 1.26~3.88],1.48 [95% CI 0.81~2.71]).

結 論

ショック抵抗性心室細動患者のうち,DSED または VC 除細動を受けた患者では,標準的な除細動を受けた患者と比較して,生存退院率が高かった.(カナダ心臓・脳卒中財団から研究助成を受けた.DOSE VF 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04080986)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 1947 - 56. )