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July 21, 2022 Vol. 387 No. 3

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肥満治療におけるチルゼパチドの週 1 回投与
Tirzepatide Once Weekly for the Treatment of Obesity

A.M. Jastreboff and Others

背景

肥満は世界に多数の合併症と死亡をもたらす慢性疾患である.新規のグルコース依存性インスリン分泌刺激ポリペプチド(GIP)とグルカゴン様ペプチド 1(GLP-1)の受容体作動薬チルゼパチド(tirzepatide)の,肥満者における有効性と安全性は明らかにされていない.

方 法

第 3 相二重盲検無作為化比較試験で,体格指数(BMI;体重 [kg]/身長 [m]2)が 30 以上の成人,または BMI が 27 以上で糖尿病以外の体重に関連する合併症を 1 つ以上有する成人 2,539 例を,チルゼパチド 5 mg 群,10 mg 群,15 mg 群,プラセボ群に 1:1:1:1 の割合で割り付け,週 1 回,20 週間の用量漸増期間を含めて 72 週間皮下投与した.複合主要エンドポイントは,体重のベースラインからの変化量(%)と 5%以上の減量とした.治療レジメンに関する estimand(推定対象となるすべての事柄)から,投与中止にかかわらず intention-to-treat 集団における効果を評価した.

結 果

ベースラインの時点で,体重の平均値は 104.8 kg,BMI の平均値は 38.0 で,参加者の 94.5%が BMI 30 以上であった.72 週の時点での体重の変化量(%)の平均は,チルゼパチド週 1 回 5 mg 群で -15.0%(95%信頼区間 [CI] -15.9~-14.2),10 mg 群で -19.5%(95% CI -20.4~-18.5),15 mg 群で -20.9%(95% CI -21.8~-19.9),プラセボ群で -3.1%(95% CI -4.3~-1.9)であった(プラセボとの比較すべてについて P<0.001).5%以上の減量は,チルゼパチド 5 mg 群の 85%(95% CI 82~89),10 mg 群の 89%(95% CI 86~92),15 mg 群の 91%(95% CI 88~94),プラセボ群の 35%(95% CI 30~39)で得られた.また,20%以上の減量は,チルゼパチド 10 mg 群の 50%(95% CI 46~54),15 mg 群の 57%(95% CI 53~61)で得られたのに対し,プラセボ群では 3%(95% CI 1~5)で得られた(プラセボとの比較すべてについて P<0.001).チルゼパチド群では,事前に規定した心血管代謝の指標のすべてに改善が認められた.チルゼパチド群でとくに頻度の高かった有害事象は消化器系の事象であり,大部分が軽度~中等度で,主に用量漸増中に発現した.有害事象により,チルゼパチド 5 mg 群の 4.3%,10 mg 群の 7.1%,15 mg 群の 6.2%,プラセボ群の 2.6%で投与が中止された.

結 論

肥満者を対象とした 72 週間の試験で,チルゼパチド 5 mg,10 mg,15 mg のいずれかの用量での週 1 回投与により,大幅な減量が得られ,持続した.(イーライリリー社から研究助成を受けた.SURMOUNT-1 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT04184622)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 205 - 16. )