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July 21, 2022 Vol. 387 No. 3

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進行トリプルネガティブ乳癌に対するペムブロリズマブと化学療法の併用
Pembrolizumab plus Chemotherapy in Advanced Triple-Negative Breast Cancer

J. Cortes and Others

背景

この第 3 相試験の中間解析では,プログラム細胞死リガンド 1(PD-L1)陽性で,複合発現スコア(CPS;PD-L1 免疫染色陽性の腫瘍細胞,リンパ球,マクロファージの数を生存腫瘍細胞の総数で除して,100 を乗じた値)が 10 以上の進行トリプルネガティブ乳癌患者において,化学療法にペムブロリズマブを追加することで,化学療法単独と比較して無増悪生存期間が延長した.全生存の最終解析結果は報告されていない.

方 法

治療歴のない切除不能な局所再発または転移性トリプルネガティブ乳癌患者を,ペムブロリズマブ(200 mg)の 3 週ごと投与と,試験担当医師が選択した化学療法(ナノ粒子アルブミン結合 [nab]-パクリタキセル,パクリタキセル,またはゲムシタビン+カルボプラチン)を併用する群と,プラセボと化学療法を併用する群に 2:1 の割合で無作為に割り付けた.主要エンドポイントは,PD-L1 陽性で CPS 10 以上の患者(CPS-10 サブグループ),PD-L1 陽性で CPS 1 以上の患者(CPS-1 サブグループ),intention-to-treat 集団における無増悪生存(報告済み)と全生存とした.安全性も評価した.

結 果

847 例が無作為化され,566 例がペムブロリズマブ+化学療法群,281 例がプラセボ+化学療法群に割り付けられた.追跡期間の中央値は 44.1 ヵ月であった.CPS-10 サブグループでは,全生存期間の中央値はペムブロリズマブ+化学療法群 23.0 ヵ月,プラセボ+化学療法群 16.1 ヵ月であり(死亡のハザード比 0.73,95%信頼区間 [CI] 0.55~0.95,両側 P=0.0185 [有意性の基準に合致]),CPS-1 サブグループでは,それぞれ 17.6 ヵ月,16.0 ヵ月(ハザード比 0.86,95% CI 0.72~1.04,両側 P=0.1125 [有意ではない]),intention-to-treat 集団では,それぞれ 17.2 ヵ月,15.5 ヵ月であった(ハザード比 0.89,95% CI 0.76~1.05 [有意性検定を行わず]).試験レジメンに関連するグレード 3~5 の有害事象は,ペムブロリズマブ+化学療法群の 68.1%,プラセボ+化学療法群の 66.9%に発現し,ペムブロリズマブ+化学療法群では 0.4%が死亡したのに対し,プラセボ+化学療法群では死亡例はなかった.

結 論

PD-L1 陽性,CPS 10 以上の進行トリプルネガティブ乳癌患者において,化学療法にペムブロリズマブを追加することで,化学療法単独と比較して全生存期間が有意に延長した.(メルクシャープ&ドーム社から研究助成を受けた.KEYNOTE-355 試験:ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02819518)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 217 - 26. )