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December 29, 2022 Vol. 387 No. 26

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高血圧の心血管イベント予防におけるクロルタリドンとヒドロクロロチアジドとの比較
Chlorthalidone vs. Hydrochlorothiazide for Hypertension–Cardiovascular Events

A. Ishani and Others

背景

高血圧患者の主要有害心血管イベント予防には,クロルタリドン(chlorthalidone)がヒドロクロロチアジドよりも優れているかどうかは明らかにされていない.

方 法

実用的試験で,米国退役軍人局医療制度のもと,ヒドロクロロチアジド 25 mg/日または 50 mg/日の投与を受けていた 65 歳以上の成人を,ヒドロクロロチアジドによる治療を継続する群と,クロルタリドン 12.5 mg/日または 25 mg/日に切り替える群に無作為に割り付けた.主要転帰は,非致死的心筋梗塞,脳卒中,入院にいたる心不全,不安定狭心症に対する緊急冠血行再建,癌に関連しない死亡の複合とした.安全性も評価した.

結 果

13,523 例が無作為化された.平均年齢は 72 歳であった.12,781 例(94.5%)が,ベースラインの時点でヒドロクロロチアジド 25 mg/日を処方されていた.ベースラインの収縮期血圧の平均値は,各群 139 mmHg であった.追跡期間中央値 2.4 年の時点で,主要転帰イベントの発生率には,クロルタリドン群(702 例 [10.4%])とヒドロクロロチアジド群(675 例 [10.0%])とのあいだでほとんど差はなかった(ハザード比 1.04,95%信頼区間 0.94~1.16,P=0.45).主要転帰の各項目についても,発生率に群間で差はなかった.低カリウム血症の発現率は,クロルタリドン群のほうがヒドロクロロチアジド群よりも高かった(6.0% 対 4.4%,P<0.001).

結 論

2 つのサイアザイド系利尿薬を臨床診療で一般的に用いられている用量で比較した今回の大規模実用的試験で,クロルタリドンの投与を受けた患者では,ヒドロクロロチアジドの投与を受けた患者と比較して,主要心血管転帰イベントの発生率,癌に関連しない死亡の発生率は低くならなかった.(米国退役軍人局共同研究プログラムから研究助成を受けた.ClinicalTrials.gov 登録番号 NCT02185417)

英文アブストラクト ( N Engl J Med 2022; 387 : 2401 - 10. )